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しかし、この数年間、鹿島は短期間に監督を交代させ続けている。
石井正忠や大岩剛、相馬直樹、岩政大樹などの日本人監督もそれなりにチームを強化させ、石井監督はJ1リーグのタイトルももたらしている。2023年シーズンも岩政監督の下で、好調時には非常に内容のある試合を展開。ようやく軌道に乗り始めたかに見えたが、シーズン終了と同時に岩政監督も退任。来シーズンは、セルビア人でJリーグでも実績のあるランコ・ポポヴィッチが監督に就任することが決まっている。
ブラジル陣路線を続けていたクラブは2022年に初のヨーロッパ人監督としてスイスのレネ・ヴァイラー監督を招聘したものの失敗したが、今回はセルビア人のポポヴィッチを選択したのだ。
監督選びは、まさに「迷走中」といっていい状態。タイトルを取れないとすぐに監督が退任されてしまうというのが最近の鹿島なのだ。
監督が頻繁に交代することは、クラブにとってけっして得策ではない。「常勝軍団」という言葉にクラブ自身が縛られすぎてしまっているのではないだろうか?
本当に「常勝軍団」を復活させたいのであれば、長期的強化方針を策定して、それに沿った監督を選び、若い選手を育てていくべきなのだ。1年や2年タイトルが取れなくても、それは将来の「常勝軍団」復活のための準備期間と考えるべきだろう。
とくに、せっかく育成組織が機能し始めているのだから、そこで育った若い選手たちを大切に長期的視野の下で育成していくことが必要だろう。それくらいの気持ちで取り組んでもらいたいものだ。
今年11月のワールドカップ予選で、鹿島からは22歳の佐野海舟が代表に招集され、ミャンマー戦で代表デビューを果たした。米子北高校を卒業した佐野が最初に入団したのがJ2リーグのFC町田ゼルビアであり、当時、同チームの監督を務めていたのがランコ・ポポヴィッチで、佐野はポポヴィッチ監督の下で才能を伸ばして鹿島移籍につながった。
来シーズンはそのポポヴィッチ監督が鹿島にやって来るので、佐野としてもさらに才能を伸ばせるのではないか。そして、ポポヴィッチ監督が若い選手の才能を見出だす能力に長けているのだとすれば、育成部門から育ってきた若い選手を中心に長期的な視野でチーム作りを任せるべきだろう。
鹿島アントラーズは、目先のタイトルを取ることより長期的に「常勝軍団」復活を目指すべきだろう。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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