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一方、ジェフ・ユナイテッド市原の母体は実業団の雄、古河電工サッカー部だった。
日本のサッカー界は1920年代から大学チームが中心となって強化されてきた。1936年のベルリン・オリンピックで強豪スウェーデンを倒した日本代表も早稲田大学を中心としたチームだった。選手たちは大学卒業後に実業団チームでプレーしていても、全日本選手権には大学の0Bとして大学チームでプレーするのが一般的だったから、全日本選手権の覇権は現役学生と0B混成の大学チームが握り続けていた。
そんな中で、実業団チームとして初めて1960年度の天皇杯全日本選手権で優勝したのが古河電工だった。実業団の時代の皮切りとなったのが古河電工であり、プロ時代の先鞭をつけたのが読売クラブだったというわけだ。
つまり、単なる「オリジナル10」ではなく、日本のサッカー史に大きな足跡を残した伝統のあるチーム同士が10数年ぶりのJ1リーグ昇格を目指して戦ったのが東京V対ジェフ千葉の試合だったのであり、だからこそ多くの関係者が集まったのだ。
まあ、ほとんどはJリーグ開幕当時を懐かしがっていた世代なので、読売クラブや古河電工にまで思いを馳せた人はそれほどいなかっただろうが、読売クラブ世代の人は実業団の古河に対しては強い対抗意識を持っていたはずだ。
大会レギュレーションによって引き分けの場合はリーグ戦上位の東京Vが決勝進出となるので、「勝利が必要な」千葉が立ち上がりから攻撃を仕掛けていったのは当然の選択だった。千葉が猛攻を仕掛け、東京Vが耐えた。
昨シーズンの途中で就任した城福浩監督は東京Vの選手たちに球際での高い守備意識をたたき込んできた。激しい守備でボールを奪ったら、すぐに攻撃を仕掛けていく……。それが、城福監督のヴェルディだ。こうして、東京Vは千葉の猛攻を耐えきって、そして、25分過ぎに反撃に移っていく。
守備から攻撃への切り替えも今の東京Vの持ち味の一つ。森田晃樹のドリブルの仕掛けからゴール前に混戦を作り、そこから中原輝が決めて東京Vが先制。前半終了間際にも左からのクロスを森田が頭で合わせて2点差とし、後半の千葉の攻撃をうまくかわして勝利をつかみ取った。城福監督は、どちらの場面でも複数の選手がゴール前のプレーに関わっていたことを評価した。
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