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サッカー フットサル コラム 2023年11月24日

日々のトレーニングと諸先輩のアドヴァイスを大切に

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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2019年U17ワールドカップに出場したキャラガーは、いまやチェルシーのゲームキャププテンを任されるほどだ

2019年U17ワールドカップに出場したギャラガーは、いまやチェルシーのゲームキャププテンを任されるほどだ

「あまりにも不名誉」(Telegraph)
「恥ずべき結末」(Daily Mail)

高級紙もタブロイド紙も糾弾した。

インドネシアで開催されているU17ワールドカップで番狂わせが起きた。グループステージを首位で突破したイングランドが、決勝ラウンドに15番目の成績で進出したウズベキスタンに1-2の敗北を屈したのである。

試合開始早々の4分、リース・ラッセル=デニーのクリアミスが発端となり、イングランドは先行される。まだまだ時間は残されているというのに、若者たちは焦りはじめた。連携はほとんど見られず、とくに左サイドはジョエル・エンダラの突破に任せっきり。レフトバックのジェイデン・メグホマが追い越したり、中盤のマイルス・ルイス=スケリー、サム・アモ=アメヤウがパスを引き出したりする工夫がない。

35分、クリス・リッグが配したスピード、角度ともに絶妙すぎるスルーパスからエンダラが決めて追いついたものの、リズム、テンポとも低調のままだ。中二日の4試合目、不慣れな南アジアの気候、脆弱なピッチなどなど、いくつかの条件を言い訳したくなるとはいえ、イングランドに限った話ではない。

FKから失点した67分のシーンも、対応がまずかった。4人の壁が飛ばない。ウズベキスタンMFラジズベク・ミルザエフのキックはたしかに素晴らしかったが、防げたはずだ。

また、ウズベキスタンDFと駆け引きせず、ボールを待つようなプレーに終始したマッティ・ウォーハーストを、81分まで引っ張ったライアン・ギャリー監督の用兵も首を傾げるしかない。代わって入ったジャスティン・オボアウォドゥオはスペースメイクや、中盤に降りてビルドアップをサポートする動きを繰り返していた。

存在感がまったくなかったウォーハーストではなく、工夫をしていたオボアウォドゥオが先発にふさわしかったようにも感じられる。

心のどこかに隙があったのではないだろうか。「ウズベキスタンには勝てる」との自信が開始4分の失点で瞬く間に壊れ、すべてがチグハグになったのかもしれない。いずれにせよ、イングランドはまさかの決勝ラウンド初戦敗退。しかも、アジアの小国ウズベキスタンに、である。ショックは大きい。

ただ、この敗戦を糧にするか、あるいは単なる体験で終わらせるかで、若者たちの将来が決まる。切り替えが大切とはいえ、悔しさを微塵も感じていないようなタイプは大成しない。苦い体験から学び、みずからを磨きあげる者しかトップチームは求めていない。

イングランドの選手たちは、まもなく所属クラブに合流する。マンチェスター・シティやチェルシー、アーセナルなど、レヴェルの高いライヴァルが揃うクラブでは、U17代表だとしても特別扱いはされない。毎日が厳しい生存競争だ。

六年前の大会で活躍したフィル・フォーデン(シティ)、コナー・ギャラガー(チェルシー)、マーク・グエイ(クリスタルパレス)などは、押しも押されもしないポジションを所属クラブで所属クラブでも確立している。

その一方で、プロのキャリアをあきらめた者もいる。ケガ、体調不良、好ましくない人間関係……。

ファンサーヴィスやメディア対応も仕事の一環だ。日々のトレーニングと諸先輩のアドヴァイスを大切に──。趣味の延長みたいな感覚で通用するほどイングランド・フットボールは、いや、プロの世界は甘くない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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