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サッカー フットサル コラム 2023年10月20日

おまえさんたちの気持ちは嬉しいけれど、休養も必要だ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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無類のタフネスを誇るダルウイン・ヌニェスだが、週末のエヴァートン戦は先発から外れても不思議ではない

無類のタフネスを誇るヌニェスだが、週末のエヴァートン戦は先発から外れても不思議ではない

どう考えてもおかしい。

どのような経緯で決定しているのか定かではないが、インターナショナル・ウィーク明けに日程が変更され、ことごとくランチタイム・キックオフになると、愚痴のひとつもこぼしたくなる。まして14試合だ。

ユルゲン・クロップ監督着任後、リヴァプールはスケジュールに悩まされている。なにしろ、8年で14試合の “リスケ” だ。次に多いチェルシーとトッテナムが6試合という事実を踏まえても、「プレミアリーグの陰謀か」と疑いたくなる。

もちろん、警備上の理由もあるだろう。11月25日のマンチェスター・シティ戦が17時30分から12時30分に試合開始時間が変更されたのは、グレーター・マンチェスター警察の依頼によるものだ。

昨シーズン、エティハド・スタジアムではアウェースタンドの女性ファンに固形物が当たり、アンフィールドではシティ・サポーターが陣取るエリアから「ヒルズボロの悲劇」(訳注参照)を揶揄するチャントが聞こえてきた。万全の警備態勢を整えることに異論を挟む余地はない。

それにしても、14試合は多すぎないか。今シーズン、インターナショナル・ウィークは3回あり、そのすべてでリヴァプールは日程変更を余儀なくされている。人気クラブ、世界的ブランドの宿命とはいえ、マージーサイドの強豪だけが苦しんでいるようにも映る。

また、移動距離の長い南米やアジアの選手たちは強行軍とも向かい合わなくてはならない。

例えば火曜日の20時にブエノスアイレス、モンテビデオ、あるいはボゴタでキックオフしたとしよう。イングランドでは水曜日の午前0時だ。試合終了後、チャーター機でイングランドに戻ったとしても、到着は早くて水曜日の夕刻。中二日で土曜のランチタイム・キックオフがやって来る。

試合と長時間のフライト、時差に伴う疲れを考慮すると、先発・フル出場は難しい。「ボス、俺は大丈夫です」と選手が直訴しても、無理強いは負傷に直結する。

「おまえさんたちの気持ちは嬉しいけれど、体力がまだ回復していないだろ。休養も必要だよ」

指揮官はブレーキをかけるに違いない。

今週末、リヴァプールはエヴァートンとのマージ―サイド・ダービーが予定されている。2026年北中米ワールドカップの南米予選2試合にフル出場したダルウイン・ヌニェス(ウルグアイ代表)とアレクシス・マカリスター(アルゼンチン代表)、ルイス・ディアス(コロンビア代表)は先発から外れるかもしれない。

日本代表の遠藤航も同様だ。彼はフレンドリーマッチのカナダ戦で62分、チュニジア戦ではフルタイム出場している。

警備上の理由とチャンピオンズリーグ、ワールドカップ予選などの日程により、試合開始時間をランチタイムに変更するケースは今後も出てくるだろう。しかし、特定のクラブに偏ったり、選手の健康面に配慮がなかったりする現状を放置していいはずがない。

フットボールに携わるすべての関係者が、真剣に検討すべきテーマだ。

【訳注】ヒルズボロの悲劇:1989年4月15日、イングランドのヒルズボロ・スタジアムで行われたFAカップ準決勝、リヴァプール対ノッティンガム・フォレスト戦の試合開始前に多くの群衆が押し寄せ、死者96名、重軽傷者766名を出す大惨事に至った

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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