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サッカー フットサル コラム 2023年10月5日

J2甲府のACLでの勝利の意味 緻密な戦術サッカーが“個の力”を封じる

後藤健生コラム by 後藤 健生
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日本のチームの戦術的な緻密さがアジアでは最高レベルにあることは間違いない。それを、J2リーグの甲府に証明してもらいたいのである。

そういう意味で、甲府が第2節で戦ったブリーラムFCは恰好の相手だった。

ブリーラムはタイ北東部のブリーラム市を本拠地としたチームで、地元の有力政治家がスポンサーとなって資金を投入して強化。現在、タイ・リーグ2連覇中という強豪だ。かつて横浜FMでプレーしていたティーラトンをはじめ、タイを代表するような選手やヨーロッパで年代別代表経験のある選手を何人も擁している。

J2リーグの甲府が、こうした個人能力の高い選手たちとどう戦うのかに注目したが、甲府は期待通りに戦術能力で相手の攻撃を封じ込めた。

相手陣内の高い位置から中盤でのプレスのかけ方で上回って、相手に思ったようなプレーをさせずに狙った位置でボールを奪う。それによって、甲府はポゼッションで相手を上回った。ブリーラムはワントップのロンサナ・ドゥンブヤの突破力や左サイドラミル・シェイダエフのドリブル。中盤でのティーラトンのパス回しやミドルシュートなど、いわゆる「個の力」を使って決定機を作ったが、試合全体としては甲府が上回っていた。

しかし、アタッキングサードでの精度を欠いたため甲府もなかなか得点機を作れないまま時間が経過した。ワントップで先発したピーター・ウタカもすでに39歳。かつてのような破壊力は影をひそめてしまっていた。

後半も攻勢は続き、スコアレスドローも見えてきた中で、甲府は時間の経過とともに着実に攻撃力を高めていった。ブリーラムの選手たちの足が止まったのを見極めて、甲府はクリスティアーノや長谷川元希といった攻撃力のある選手と投入してギアを上げていった。

そして、ついに終了間際にクリスティアーノのクロスを長谷川がヘディングで決めて、劇的な勝利を収めた。

90分間のゲームプランを考え、試合中にディテールを修正しながら、交代を使って相手を追い詰めて勝利をつかみ取ったのだ。「選手層」も含めて、J2リーグの甲府はタイ最強クラブを上回った。甲府の勝利は、日本サッカー全体の勝利ということができる。

甲府は初戦でオーストラリアに遠征してメルボルン・シティと引き分けており、第2戦を終えてメルボルンと勝点で並び、総得点数でメルボルンが首位に立ち、甲府は2位となっている。最強の相手メルボルンとはすでにアウェーゲームを済ませているので、グループステージ突破の可能性も大いにある。何しろ、甲府が所属するグループHには、東アジアでの日本の最大のライバルである韓国のクラブが不在なのだ。

これからも、甲府の試合には注目していきたい。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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