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直接的な原因は神戸の選手たちのフィジカル的な問題だった。
ワントップで頑張った大迫は68分に交代となったし、トップ下で動き回った佐々木は後半の早い時間帯から足を気にし始め、78分に足が攣って交代を余儀なくされる。そのほかにも、痙攣を起こした選手が数人いたように見えた。さらに、初瀬も負傷して70分で交代。
こうして足が止まった神戸を、交代カードを効果的に使った横浜FMが追い込んでいった。81分に水沼宏太を投入してからは、右サイドに張っていたヤン・マテウスをインサイドハーフとして2列目で南泰熙(ナム・テヒ)と並べた布陣も効果的だった。
連戦でもなかったのに、神戸の選手たちはどうしてあそこまで消耗してしまったのか……。大迫、武藤、酒井など中心選手の年齢が高いことも原因なのかもしれない。たしかに前半からよく動いてはいたが、あそこまで消耗するとなると、リーグ戦終盤で最後まで勝ち切れるのか、疑問に思えてしまう。
後半の劣勢はフィジカル面だけが原因ではなかった。2点リードして、しかもフィジカル面で不安があるのなら、神戸はその2点リードを利用して動きのない試合にしてしまうべきだったろう。「ゲームを殺す」とよく表現する戦い方だ。
ところが、後半に入るとすぐに、試合はオープンな撃ち合いになってしまったのだ。神戸にもいくつもチャンスはあった。だが、横浜FMにも攻撃の形を作らせてしまった。これによって、横浜FMには「勢い」が生まれたのだ。
試合運びという点でも、後半の神戸は拙い戦いをしてしまったのだ。
この試合はなんとか2点リードを保って逃げ切った。残り5試合の時点で勝点差は“1ゲーム差”以上の4ポイントに開いた。
優勝争いで、神戸が圧倒的な優位に立ったことは間違いない。
J1リーグ戦は3週間後ということになる。神戸には調整する時間が与えられる(横浜FMは、この間、AFCチャンピオンズリーグとYBCルヴァンカップの試合をこなさなければならない)。
神戸の再開初戦は10月21日の第30節。対戦相手は難敵鹿島アントラーズであり、神戸のホームゲームでありながら、東京・国立競技場での開催となる。
この鹿島戦にうまくピークを合わせて勝利で終えることができるとすれば、そこで初めて神戸は優勝に大きく近づくはずだ。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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