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サッカー フットサル コラム 2023年9月27日

『98パーセントの苦悩』の先にある『2パーセントの歓喜』を求めて 高円宮杯プレミアリーグEAST FC東京U-18×横浜F・マリノスユースマッチレビュー』

土屋雅史コラム by 土屋 雅史
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タイムアップから1時間は経った頃。試合に出ていない選手の練習を見守っていた奥原監督は、静かに終わったばかりの90分間を思い出す。「正直、クラブユースであそこまで勝ち上がった時よりも遥かに嬉しいなと。アレは勢いの掴み方を選手と一緒にやっていった感じなんですけど、今回は本当に苦しいことをみんなで乗り越えてきましたから。悔しい想いをたくさんしてきた中で、それでも試合に出られない選手もいますし、いろいろな選手のいろいろな想いがあって、でも、頑張っても頑張っても勝ち点を獲れなくて、前回なんて凄く強い想いを持って臨んだ試合でも0-6で負けてしまって。誰かが手を抜いているわけでも、誰かがチームを壊そうとしているわけでも全然ないんです。そんな中で、むしろようやくサッカーをやれる環境が整ってきた分、ここで本当に自分たちの拠りどころになる勝ち点が付いてくれたらと思っていたので、今日は自信を少し回復できるゲームになったかなって」。

試合前より少しだけ晴れやかな顔をしていた奥原監督に、「サッカーは楽しいだけではないんですね」と問い掛けると、小さな笑顔を浮かべてこう返してくれた。「選手にも『嬉しいのは一瞬だ』と。今日も98パーセントは苦しい時間だったと思うんですけど、でも、それも全部消し飛ぶだけの喜びを得るために、僕らも努力してこの仕事をしますし、選手たちにも『その一瞬のために日々を積み上げるんだよ』という話を今週はしてきたんです。なので、日々練習していることと勝ち方を両方突き詰めて、ここからまたみんなとこういう雰囲気を1試合でも多く作りたいですね」。

やっぱり嬉しいことなんて、2パーセントもあれば良い方だろう。98パーセントは苦しくて、辛くて、悩むことばかりに違いない。でも、そのたった2パーセントのために、彼らはボールを蹴り続け、日々のトレーニングと向き合い続け、再びピッチへと足を踏み入れていくのだ。

文:土屋雅史

土屋 雅史

土屋 雅史

1979年生まれ。群馬県出身。群馬県立高崎高校3年時には全国総体でベスト8に入り、大会優秀選手に選出。早稲田大学法学部を卒業後、2003年に株式会社ジェイ・スカイ・スポーツ(現ジェイ・スポーツ)へ入社し、「Foot!」ディレクターやJリーグ中継プロデューサーを歴任。2021年からフリーランスとして活動中。

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