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二年連続で茶番劇の主役を演じたエムバペ。イメージは悪化する一方だ。契約に臨む姿勢を改めた方がいい
およそ一年前、キリアン・エムバペはレアル・マドリーへの移籍が決定的だった。ところが、パリ・サンジェルマンに残留する。
ことしの夏、契約をめぐってエムバペとパリSGの関係に大きな亀裂が生じた。ところが、やはり残留で落ち着いた。
二年連続の “茶番” といって差し支えない。エムバペは「出ていくぞ、いいんだな」とパリSGを牽制し、そのたびに有利な条件で契約している。いまやクラブの運営にも口出しできる権力まで手に入れたという。
ごねればごねるだけ好条件で契約できるのだから、今後も同じようなことが繰り返される。エムバペの去就に大きな影響力を持つ実母ファイザ・ラマリは、一年後もパリSGに揺さぶりをかけるに違いない。
そして、彼らのターゲットがマドリーであることは想像に難くない。双方は相思相愛であり、この移籍は来年夏に実現する公算が非常に大きい、と伝えられている。
しかし、エムバペがマドリーで権力を有するとは思えない。ファイザ・ラマリとともにクラブの運営に口を出すと、フロレンティーノ・ペレス会長の逆鱗に触れる。一選手に徹しないかぎり、エムバペの未来はない。
また、伝統と格式でパリSGをはるかに上まわるマドリーで “王様” を気どれば、マドリディスタの反感を買う。クラブのために、身を粉にして走れるだろうか、闘えるだろうか。
いま、ラ・リーガの覇王は新旧交代の狭間を迎えている。この一年でカゼミーロがマンチェスター・ユナイテッドに、カリム・ベンゼマはアル・イテハドに去り、ルカ・モドリッチとトニ・クロースはキャリアの晩年を迎えた。
中軸はヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ、エドゥアルド・カマビンガ、ジュード・ベリンガムといった若者に移りつつある。いずれもハードワークを厭わないタイプだ。
24歳のエムバペなら、マドリーの中軸と世代的に近い。趣味・嗜好で話は合うかもしれない。ただ、ピッチ上で汗をかかなかったら、たちまち孤立する。
契約交渉もスムーズに運ぶとは考えづらい。クラブ間で合意に至った翌日、少しでも多くの利益を得ようとファイザ・ラマリは駆け引きを始める。彼女が得意とする手法だ。
この夏も再三再四、エムバペの “陣営” はリヴァプールの名前を出している。もちろん、マージーサイドの強豪は交渉するつもりもなかった。
いま、ファイザ・ラマリは要注意人物として各クラブ、エージェントが徹底的にマークしている。8月2日のコラムでも報じたように、「エージェントでもない人間が交渉の場にしゃしゃり出てきやがって」との批判があちらこちらから聞こえてきた。
しかも移籍金、年俸ともに高額で、そのうえなんらかの権力を手に入れようとすれば、選手やスタッフだけではなく、すべてのサポーターまで敵にまわす。
モドリッチやクロースがなぜ尊敬されているのか、ベリンガムが短期間でマドリディスタに支持されたのか。エムバペの陣営は深く深く考えなくてはならない。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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