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サッカー フットサル コラム 2023年9月6日

チェルシーはこの夏も821億円もの巨額を投下した

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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エンソ・フェルナンデスをはじめ、チェルシーは多くのタレントを擁しているが……

E・フェルナンデスをはじめ、チェルシーは多くのタレントを擁しているが……

この夏も大盤振る舞いである。

プレミアリーグの20クラブは、移籍市場に過去最多の23億6000万ポンドを投下した。日本円にしておよそ4370億円! ヨーロッパ主要リーグの48%にも及ぶ大きな大きな、さらに大きな金額だという。

収支でプラスになったのはブライトンとウェストハム、ウォルヴァーハンプトンだけだ。ただ、ウルヴズはファイナンシャル・フェアプレーに抵触するリスクが大きかったため、買いより売りを優先せざるをえなかった。マテウス・ヌニェスをマンチェスター・シティに、ルベン・ネヴェスをアル・ヒラルに放出。ふたり合わせて1憶200万ポンド(約189億円)を得るなど、総計8170万ポンド(約151億円)のプラスに至っている。

したがって、経済的な勝者はブライトンとウェストハムに限られる。前者はモイセズ・カイセド(→チェルシー)で1億1500万ポンド(約213億円)、後者はデクラン・ライス(→アーセナル)で1憶500万ポンド(約194億円)のビッグビジネスが成立した。

とくにブライトンは市場全体で9610万ポンド(約178億円)のプラス。“お得意様” チェルシーとの取り引きは、1万4000万ポンド(約259億円)にも達している。日本円で100億を超えるマイナスとなったバーンリーやボーンマスは、ブライトンの補強プランを研究した方がいい。彼らは選手を見る目がある。

さて、またしてもチェルシーがやらかしていた。今夏の支出は4億4360万ポンド(約821億円)。2位マンチェスター・シティの2億1300万ポンド(約394億円)を倍以上も引き離した。もちろん、リーグトップである。

カイ・ハヴァーツ(アーセナル)やメイソン・マウント(マンチェスター・ユナイテッド)などの移籍は、2億1510万ポンド(約398億円)の収入になった。こちらもリーグトップのデータだ。ローンも含めると26選手を手放し、とりあえずはスリム化も図っている。

しかし、代わって獲得した13選手の大半が10代後半から20代前半だ。既存戦力も非常に若く、オーナーのトッド・ベーリーは各方面から指摘されていた経験不足を、補強策の念頭に置いていない。

9月22日で39歳になるチアゴ・シウバが今シーズンも健在で、UEFA主催大会の出場権がないチェルシーはイングランドも区内のタイトルに専念できる。とはいえ、働き盛り(27~32歳)の中堅が少なすぎる年齢的アンバランスは改善されず、先行投資が過ぎるようだ。最古参は五年目のリース・ジェイムズで23歳、二番手は四年目のベン・チルウェルで26歳だ。

「組織を再構築する過程では、攻撃的なシチュエーションでこそリラックスし、クールにならなければならない。激しさのなかで軽率に判断したり、攻め急いだりすると結果が伴わないケースは多々ある」

5節のノッティンガム・フォレスト戦に0-1で敗れた後、マウリシオ・ポチェッティーノ監督は悔しそうに語っていた。T・シウバ以外に修羅場を経験した選手が2~3人いれば、攻め急いだりしなかったという意味ではないだろうか。

エンソ・フェルナンデス、カーニー・チュクウメカ、リーヴァイ・コルウィル、1億1500万ポンドの男カイセド……。チェルシーは綺羅星のごときタレントを数多く擁しているものの、彼らはヒリヒリした闘いの経験があまりにも不足している。

クラブが抱える難題に、ベーリーは気づいているのだろうか。いや、気づいていないからこそ、無謀な投資を繰り返す。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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