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サッカー フットサル コラム 2023年9月1日

微妙な裁定によって冨安が退場になったにもかかわらず・・・

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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冨安健洋が退場に

「あの程度で退場とは……」。冨安を擁護する声は非常に多い。少なくともVARで検証すべきだ

VARの対象となるシーンは、以下の四項目である。

①ゴールかノーゴールか
②PKかPKではないか
③一発レッドに値するファウルか
④カードを提示する選手を間違えていないか

その昔、グラハム・ポールがひとりの選手にイエロカードを三枚も提示したり、アンドレ・マリナーがレッドカードとなる対象を誤ったり、イングランド人レフェリーは珍プレーの宝庫だった。VARがなかった当時の話ではある。

イングランド人レフェリーの質はなかなか向上しない。今シーズンも疑惑の裁定が話題になっている。

たとえば2節のクリスタルパレス対アーセナル戦だ。冨安健洋は遅延行為で一枚目をもらい、二枚目はイエローに値しないプレーだった。主審のデイヴィッド・クートは、なんの躊躇もなく冨安を退場処分にしている。

上記四項目に該当しないため、VAR担当のジャレッド・ジレットはクートに進言しなかったのかもしれない。

ただ、冨安の一枚目は遅延行為だったのか。トーマス・パーティの方が、プレーを遅らせていたようにも映る。二枚目もクリスタルパレスのアンドレ・アユーがうまく倒れただけで、シミュレーションにも受け取れる。どちらかのシーンをVARでチェックさえすれば、冨安は退場を免れた公算が大きい。先述した「カードを提示する選手を間違えていないか」が、適用されてしかるべきだった。

微妙、かつ曖昧な基準によって冨安が退場になったにもかかわらず、『PGMOL』(Professional Game Match Official Limited/プロ審判協会)はなんの検証もしていない。

「ストップウォッチが必要だ」

アーセナルのミケル・アルテタ監督が遅延行為に関して首を傾げていたように、何秒までならイエローではないのか、プレミアリーグと『PGMOL』はルールに明記した方がいい。

さらに、トッテナムのクリスティアン・ロメロは、2節のマンチェスター・ユナイテッド戦でPK献上を免れたとはいえ、ペナルティボックス内でからだを大きく見せている。

リヴァプールのトレント=アレキサンダー・アーノルドは、3節のニューカッスル戦でレイトタックル。二枚目のイエローに値するプレーだったが、なぜかおとがめなしだ。

今シーズンから些細なクレームもイエローの対象になる。したがって各クラブは、いまのところミスジャッジにも口をつぐんでいる。過度なセレブレーションも同様だ。機微を表現しづらくなってきた。

新ルールがレフェリーをプレッシャーから守るシステムだとしても、現状では権威を無駄に振りかざすだけで、彼らのレヴェル向上につながるとは思えない。監督や選手の信頼を得られていない連中がカードをまき散らし、試合をブチ壊すんじゃないかと思うとゾッとする。

3節終了時点で退場者は9名。昨シーズンより5名も多い。イエロカードは130枚。昨シーズンを17枚も上まわっている

今週末のアーセナル対ユナイテッド戦は、アンソニー・テイラーが主審を務める。出来・不出来に差があり、物議をかもす裁定も少なくはない。

プレミアリーグは世界最高峰のフットボールシーンである。レフェリーにも、それ相当の覚悟が必要だ。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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