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サッカー フットサル コラム 2023年8月30日

金子勝彦さんの思い出 リバプール愛が“溢れ過ぎた”実況

後藤健生コラム by 後藤 健生
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エムリン・ヒューズやジョン・トシャック、ケビン・キーガン、レイ・クレメンス(GK)といった名手たちが並ぶ「ドリームチーム」だった。

さて、リバプール戦実況の日、金子さんは1970年代当時の資料を大量に持ってきて、控室で僕に見せてくれたのだ。

現在のサッカー中継では「データマン」と呼ばれる専門家がいて、インターネットを駆使して作成した資料を用意してくれる。実況アナウンサーも、解説者もそれに目を通し、あるいは放送ブースで手元に置いてしゃべればいいのである。

だが、1970年代には「データマン」などはいなかった。資料は、金子さん自身が手間と時間をかけて作った、鉛筆書きの手作り感たっぷりのものだった。

当時は、もちろんインターネットなど存在しなかったから、雑誌や新聞記事などを読み込み、また放送を担当した時のメモなどを足していった貴重なものだ。

金子さんとしては、若い解説者ではなく、“当時”を知る僕が解説にやって来るというので、その古い資料をわざわざ持ってきてくれたというわけだ。

もっとも、試合の中継が始まってからも金子さんは1970年代の黄金時代のことが頭から離れないようですっかり昔話に花が咲いてしまった。僕も昔話は楽しかったのだが(何しろ話し相手が金子さんなのだ!)、目の前では試合が進行しているので昔話ばっかりしているわけにはいかない(対戦相手がどこだったのか、まったく記憶にないのだが……)。

そこで、僕が目の前で繰り広げられているプレーの話に戻すと、金子さんが再び昔話を始めるという奇妙な展開の放送になってしまい、周りの人たちに「実況と解説が逆みたいでしたね」と言われてしまった。

とにかく、少年時代に憧れをいだきながら『ダイヤモンド・サッカー』を見ていた僕としては、一度だけでも金子さんと一緒に仕事をさせてもらったことは、一生の思い出として残っている。

サッカー放送の現場も、日本のサッカーも、イングランドのフットボールも、すっかり様変わりしてしまったが。リバプールは今でも強豪としての地位を保っており、アンフィールドは立見席がなくなった今も、当時の雰囲気を最も色濃く残したスタジアムの一つだ。

そのアンフィールドで、今シーズン、遠藤航という日本人選手が活躍することになった。金子さんも、きっと空の上から遠藤の活躍を見守ってくれていることだろう。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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