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サッカー フットサル コラム 2023年8月4日

選手とご家族が安心して暮らせる街でプレーする幸せ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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エデン・アザール

アザールはマドリーで散々の出来に終わったが、まだ老け込む歳ではない

余計なことしやがって……。

ヨーロッパの偽らざる心境である。今年の夏はサウジアラビアがHOTだ。分厚い札束をひけらしながら、移籍市場を荒らしている。

決してハイレヴェルとはいえない国内リーグの実情をふまえると、超トップランカーの獲得は不可能だ。しかし、移籍市場が9月20日まで開いていて、ヨーロッパ諸国は基本的に9月1日で終了する。

「市場に3週間のタイムラグがあるなんて最悪だよ。FIFAもUEFAもほったらかしじゃないか」

リヴァプールのユルゲン・クロップ監督が愚痴るのは当然だ。

さて、新シーズンの開幕が近づいてきたというのに、所属クラブが決まっていない選手たちがいる。

アンドレス・イニエスタ、セルヒオ・ラモス、ダビド・デ・ヘア、エデン・アザール、アレクシス・サンチェスといったビッグネームや、働きざかりのトム・デイヴィス、アレックス・オクスレイド=チェンバレン、そうそう、日本代表の鎌田大地も含まれる。

アメリカのMLSを視野に入れる者、サウジアラビアからオファーが届いた者、まだまだヨーロッパのトップクラスで通用する信じて疑わない者、それぞれの立場があり、野心がある。彼らをひとくくりにはまとめられない。

だからこそ、熟慮のうえに熟慮を重ね、ご家族と相談し、最良の選択をしてほしい。少なくとも、望まれない移籍は避けるべきであり、ご家族にも配慮しなくてはならない。

例えばアンヘル・ディマリア(新シーズンは古巣ベンフィカに復帰)はレアル・マドリーを愛していたにもかかわらず、諸事情でマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。

スペインに比べると寒いイングランドにご家族が閉口し、留守中に強盗にも入られた。ディマリアのご家族は、いまでもイングランドとマンチェスターが大っ嫌いである。

かつてチェルシーやアーセナルで一世を風靡し、2シーズン前からACミランでいぶし銀の妙を見せるオリヴィエ・ジルーも次のように語っていた。

「われわれ選手やクラブの都合だけで移籍は決められない。家族と話し合う時間がなにより重要なんだ。なぜなら家内には彼女のコミュニティがあり、子どもたちには数多くの友人がいる。貴重な人間関係を壊してまで移籍する権利などだれも持っていなし、持ってはいけないんだよ」

けだし名言だ。

サウジアラビアのクラブから届く金銭的な好条件には、だれもが魅力を感じる。だが、イスラムの文化を受け入れられるだろうか。

アメリカでもサッカー人気は高まっているが、バスケット、アメリカン・フットボール、アイスホッケーなどには及ばない。ナンバーワン・スポーツの名をほしいままにするヨーロッパ、南米で育った者が許容できるレヴェルなのだろうか。

先述した名手たちのもとに、素敵なオファーが届いてほしい。選手本人はもちろん、ご家族が満足し、安心に暮らせる街で精いっぱいプレーしてほしい。

新シーズンを、笑顔で迎えられますように……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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