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サッカー フットサル コラム 2023年6月14日

慣習に囚われないペップのアイデアこそがシティ躍進の根源だ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ジョゼップ・グアルディオラ

ビッグイヤーを獲得したジョゼップ・グアルディオラ監督

再構築15年にしてヨーロッパ制覇である。マンチェスター・シティの早業には脱帽するしかない。

『ADUG』(アブダビ・ユナイテッド・グループ)が買収した2008年夏、移籍市場では無視されていた。莫大な資金を有しているとはいえ、ブランドイメージが皆無に等しかったらだ。

当時のイングランド・フットボールはマンチェスター・ユナイテッドとチェルシーが中心で、アーセナルとリヴァプールが二強を追っていた。したがって、ヨーロッパ諸国のクラブはシティに興味を持っておらず、08年夏に獲得した新戦力はロビーニョやジョー、タル・ベン・ハイムなど、サポーターが涙を流して喜ぶようなビッグネームではなかった。

しかし、11-12シーズンにロベルト・マンチーニが、彼の跡を継いだマヌエル・ペジェグリーニが13-14シーズンにプレミアリーグを勝ち取ると、当然のように認知度が高くなっていく。そして16年夏、ジョゼップ・グアルディオラが監督に就任。潮目はガラリと変わった。

稀代の名将はシティ着任後、8シーズンで6回もプレミアリーグを制している。優勝を逸した2シーズンも3位と2位。しかもグアルディオラによって、ポジショナルプレー、5レーン、偽センターバックなど、さまざまな新スタイルでフットボールは進化している。

もちろん、『ADUG』の莫大な資金が市場でアドヴァンテージを握った。強化担当部長のチキ・ベギリスタインが長年かけて築いた人的ネットワークも、こんにちの成功に欠かせない要素のひとつだ。

ただ、慣習に囚われないグアルディオラの豊富なアイデアこそが、シティ大躍進の根源であり、今後も彼の一挙手一投足が世界のトレンドになるに違いない。

22-23シーズンの後半戦も、4バック→3バックに移行が奏功した。失点は前半戦19試合の20から13に減っている。さすがにグアルディオラは機転が利く。8月12日開幕予定の新シーズンも、フリアン・アルバレスをどう組み込むのか。2シーズン目を迎えるカルヴィン・フィリップスの適性をどのポジションに見いだすのか。興味は尽きない。

さて、現地時間6月10日に悲願のビッグイヤーを獲得した後、グアルディオラは束の間の休息を楽しんでいる。ベギリスタインをはじめとする強化担当とは密に連絡をとりつつ、しばらくの間は公衆の面前から姿を消す。

それでも強化プランはつねに進行しており、「ライプツィヒのヨシュコ・グバルディオルと早々に接触」なる噂も流れはじめた。アイメリク・ラポルトが退団濃厚なため、センターバックの拡充に取りかかるということだ。ちなみにグバルディルは、おそらくレアル・マドリーと一騎打ち。落としどころは1億ポンド(約175億円)前後か。

また、契約満了に伴う退団が噂されるイルカイ・ギュンドアンに関しては、「メディア、とくにネット関連はデマが横行している」とエージェントが語った。残留の可能性が出てきたのかもしれない。ベルナウド・シウバは環境を変えたがっているものの、一時よりは契約更新の公算が大きくなりつつもある。

110もの財務違反のペナルティーは新シーズン開幕までに明らかになり、ポイントのはく奪は免れそうにないが、逆に適度なハンデだろうか。

グアルディオラとシティの新章は、世界中のフットボールファンを巻き込むに違いない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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