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そんな「プレーが止まらないのが魅力」というサッカーなのに、最近はVARのおかげで中断だらけになってしまった。それなら、試合のテンポアップのためにサッカーにも「ピッチクロック」が必要なのではないか?
たとえばFKやCKの場面でリードしている側の選手がなかなかボールを蹴らずに時間稼ぎをしたり、FKの場面で守備側の“壁”が10ヤード離れずに時間を消費する。あるいは、選手交代の時に退場する選手がタッチラインに向かってゆっくりと歩いて時間を使う……。
そんな遅延行為は禁止すべきなのではないだろうか。
現行ルールでも、極端な時間稼ぎに対してはイエローカードを出ることはあるが、実際にカードが示される光景はあまり見ない。だから、時間稼ぎが横行するのである。
アンジェ・ポステコグルー監督就任以来、横浜F・マリノスはCKやFKの場面で時間をかけずにスタートすることを徹底している。相手が守備を整える前に試合を再開するのだ。
そうしたクイックスタートによってサッカーのエンターテインメント性は明らかに高まるはずだ。だが、残念ながらゆっくりと時間を使うチームがまだまだたくさんあることも事実なのである。
サッカーの「ピッチクロック」……。
たとえば、FKを20秒以内に蹴らなかったら相手ボールになってしまうとか、10秒以内に“壁”が10ヤード離れなかったら、FKの位置をさらに10ヤードだけゴールに近づける。あるいは、交代時に10秒以内にラインの外に出なかったら選手交代を認めない……。スローインでも、10秒以内に投げなかったら相手ボールにしてしまえばいい。
これは、けっしてサッカーに馴染まないルールではないと思う。
今でもサッカーそうしたルールはある。GKの「6秒ルール」だ。違反すると相手ボールの間接FKになる(たいていのGKは6秒が近づくとボールを自ら手から離す)。フットサルには「4秒ルール」というのがあって、キックインやCK、ゴールキーパースローを4秒以内に行わないと、ボールの所有権は相手チームに移ってしまう。
「プレーが止まらないこと」こそがサッカーが魅力的である理由の一つなのだからこそ、サッカーには野球以上に「ピッチクロック」ルールが必要なのではないだろうか。
大谷翔平出場のMLBをテレビで見ながらそんなことを妄想する日々である。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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