“ヤマハ決戦”のキーエリアは実力者が並ぶドイスボランチ ジュビロ磐田U-18×ヴィッセル神戸U-18マッチプレビュー【高円宮杯プレミアリーグWEST第5節】

本人も「ボールって相手がヘディングした時の目線とか身体の向きとかでだいたい落ちてくるところがわかる部分もあるので、落ちてきたところにすぐ反応できるような身体の向きも意識してやっています」とその“極意”を説明。どんな監督も使いたくなるような、チームにとって欠かせない仕事人だ。

その相方に収まる川合は、横浜F・マリノスと対峙した4月19日のルヴァンカップで、クラブ史上最年少となるトップチームでの公式戦出場を果たし、注目を集めている。「徳孟は裏へのパスや背後のパスが上手なので、前を向いたら自分を見てほしいとは常に言っています」と評価するのはチームのエースストライカーを担う舩橋京汰。中村の後ろ盾を得ながら、川合には攻撃面での決定的な仕事も求められている。

対する神戸U-18は、キャプテンに就いた3年生の坂本翔偉と1年生の藤本陸玖がボランチでコンビを組む。昨シーズンからスタメンを張っていた坂本は「自分は身体が売りなので、相手よりもいっぱい走ったり、戦うという気持ちを持ってやっています」という闘将だ。今季は10番も背負っており、「口で『どうせい』というようなタイプではないので、プレー面で戦う部分やチームを鼓舞する部分で頑張っていこうかなという感じです」と強い責任感も。その戦う姿勢がチームに太い軸を通している。

そんな坂本のパートナーは、U-15から昇格してきたばかりの藤本。まだあどけない表情の残る15歳だが、そのプレーは圧巻の一言。「利き足は両足です。最初はたぶん右利きやったんですけど、小さい時から左も蹴れていました。左右同じ感じで蹴れます」と言い切るように、左右どちらの足でも正確なキックを繰り出し、既にプレースキッカーも担当。鳥栖U-18戦では土壇場で得たFKから、坂本の同点弾をアシストするなど、明確な結果も残してきた。

目指すのは元ドイツ代表のトニ・クロースのようなプレーメイカー。「今まではちょっとビルドアップのところでミスがあったり、ボールロストの回数もありましたけど、今日に関してはそのミスも少なくできていたので、もっと攻撃でも堂々とプレーできるようにしていきたいです」と鳥栖U-18戦後にはプレミアの舞台で掴みつつある手応えも口に。46番という大きな背番号を纏ったスーパールーキーからは、この試合も目が離せない。

昨シーズンの成果や、揃っているタレントの質を考えても、お互いに今の立ち位置に満足しているはずもない。これ以上負けられない磐田U-18と神戸U-18が激突する“ヤマハ決戦”には、双方の意地がぶつかり合う激闘を期待したい。

ヴィッセル神戸U-18・坂本翔偉

文：土屋雅史