人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サッカー フットサル コラム 2023年4月26日

ベーリーが血相を変えてロッカールームに乗りこんでくる

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
  • Line
チェルシーのオーナー、トッド・ベーリー氏

チェルシーのオーナー、トッド・ベーリー氏

「10人だ。少なくとも10人は整理しなくてはならない」

チャンピオンズリーグ準々決勝2NDレグでレアル・マドリーに0-2の苦杯を舐めた後、チェルシーOBのジョー・コールは絞り出すように語った。

「いま、トップチームには30人もいる。11人同士で試合形式のトレーニングをすると8人も余る。こんな状況、だれが幸せだっていうんだ」

コールは肥大化した現状を憂えている。グレアム・ポッター前監督も、「30人は多すぎる」と嘆いていた。

諸悪の根源はオーナーのトッド・ベーリーである。

「第一印象が悪すぎた」との理由でトーマス・トゥヘルを解雇し、後任のポッターを無視して選手を買い漁った。

さらに、新監督の人選も難航している。ユリアン・ナーゲルスマンはチェルシー内部で賛否両論が激しく分かれ、ルイス・エンリケは最終候補に残らなかった。現時点で最有力のマウリシオ・ポチェッティーノは、みずからの哲学に絶対の自信を持っている。独断専行のベーリーが耳を傾けるはずがない。

それにしても、トゥヘル、ポッター、ナーゲルスマン、L・エンリケ、ポチェッティーノ……。人選に一貫性がなく、どのようなチームを創りたいのか、さっぱり分からない。

しかも近ごろはオーナーの権力を振りかざし、試合後のロッカールームで選手たちを罵倒するという。呆れてものがいえない。「恥さらし」とか「無駄飯食らい」といった発言はパワーハラスメントだ。ボーリーに批判された何人かの選手は、すっかりやる気をなくてしまった。

当然、ベーリーの落花狼藉は夏の市場にも波及する。暴君のもとに、だれが好き好んでやって来るというのだろうか。ライプツィヒのクリストファー・エンクンクとはすでに合意に至っているが、そのほかの強化プランがスムーズに運ぶとは思えない。

夏の第一候補とされるヨシュコ・グバルディオル(ライプツィヒ)はマドリーを希望しており、エージェントは「プレミアリーグならマンチェスター・シティ」と語っている。チェルシーのチの字もない。

もちろん、グバルディオルはいずれワールドクラスの称号を得るセンターバックだ。しかし、チアゴ・シウバ、ブノワ・ブディアシル、ウェズレイ・フォファナ、カリド・クリバリ、トレボ・チャロバーと、このポジションは人材豊富だ。

また、中盤は9人、ウイングも6人と十分すぎるほど揃えていても、ストライカーが見当たらない。ベーリーが自分勝手に人選したため、チーム構成上のバランスが非常に悪い。市場に投じた6億1100万ユーロ(約855億円)もの巨額は、いまのところ絶望的な無駄遣いだ。

カネを使えば使った分だけのリスクが生じていることに、組織の長が気づいていないのだから、ひどく滑稽だ。チアゴ・シウバも「われわれは補強プランを練り直す必要がある」と、英国のメディア『TNT sports』を通じてベーリーに訴えていた。

マドリーに敗れてCLから姿を消したチェルシーは、現地時間4月26日にブレントフォードと対戦。5月にはアーセナル、マンチェスターの2チーム、ニューカッスルとの試合も控えている。苦戦は免れない。

ベーリーが、血相を変えてロッカールームに乗りこんでくる……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!

サッカー フットサルの放送・配信ページへ