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だが、今シーズンに入ってJリーグのサッカーは大きく変わった。カウンター型のチームが台頭したのだ。
前線からのプレッシングでボールを奪って一気に攻めるカウンタープレスを取り入れたヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島が上位に進出。相手を自陣まで引き入れて深い位置でボールを奪ってロングカウンターをしかける名古屋グランパス。今シーズンの序盤は、こうしたカウンター型のチームが上位を占めた(ちなみにJ2リーグでも堅守速攻型の町田ゼルビアや東京ヴェルディ、ブラウブリッツ秋田が上位に付けている)。
川崎のような、奇麗にパスをつなぐチームは、むしろカウンター型のチームを相手にすると狙いどころがはっきりしてしまう。川崎のパス回しが狙われてしまうのだ。
川崎としても巻き返しを図るために、何かを変えざるを得ないはずだ。
そこで、この浦和戦ではまず今までにないような激しい球際の攻防を演じた。
もちろん、川崎の全盛時代にもハイプレスは目立っていた。しかし、あの時代の川崎のハイプレスは余裕のある中でのプレス。プレッシングによって相手のミスを誘発してゴールを奪うためのものだった。だが、浦和戦で見せたのは、本当に互角のボールを奪うための激しい球際の闘いだった。そして、奪ったボールをつないで相手のプレスをかいくぐって攻撃につなげるために、パススピードを上げる意識も高かった。
「ポゼッション・サッカーからカウンタープレス型へ」というのは、ヨーロッパが辿ってきた道だ。FCバルセロナの全盛時代には「ティキタカ」が永遠の真理であるかのように「礼賛されたが、その後は次第にカウンタープレスが主流となっていった。
そうした中で、ポゼッション志向のチームがどのように相手のプレッシングをかわすれ形を作れるのか。それが、今後の世界のサッカーの一大テーマとなってくることだろう(たとえば、三笘薫が在籍するブライトンのやり方もそうした工夫の一つだ)。
いずれにしても、カウンター・サッカーに対抗するために川崎がこれからどのように変化/進化していくのか、それも今シーズンのJ1リーグの大きな見どころとなるだろう。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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