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サッカー フットサル コラム 2023年4月19日

ターゲットの選定はリスクマネジメントのひとつでもある

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ブレナン・ジョンソンをタックルで防ぐアーロン・ワン=ビサカ

ブレナン・ジョンソンをタックルで防ぐアーロン・ワン=ビサカ

緊急事態だ。

マーカス・ラシュフォード、ルーク・ショー、リサンドロ・マルティネス、ラファエル・ヴァラン、アレハンドロ・ガルナチョ、マルセル・ザービッツァー、スコット・マクトミネイ、タイレル・マラシア……。マンチェスター・ユナイテッドに負傷者が相次いでいる。

ラシュフォードとショー、マクトミネイ、マラシアは現地時間4月20日のセビージャ戦(ヨーロッパリーグ準々決勝2ndレグ)から、ザービッツァーとヴァランは4月30日のアストンヴィラ戦から復帰とも伝えられているが、回復までに時間がかかるかもしれない。

3月12日のサウサンプトン戦で右足首を負傷したガルナチョの復帰(スパイクシューズを履けるまでには回復)は、早くて5月上旬だ。

また、中足骨骨折が明らかになったマルティネスは全治二か月半。すでに獲得しているリーグカップを含め、ヨーロッパリーグとFAカップを合わせた三冠を狙っていたユナイテッドのシナリオは、大幅な書き換えを余儀なくされた。

センターバックの主力であるマルティネスとヴァランが使えないのだから、最終ラインは組み替えるしかない。

ライトバックはアーロン・ワン=ビサカ、あるいはディオゴ・ダロ。レフトバックはルーク・ショー。安心のメンバーだ。

しかし、4月16日のノッティンガム・フォレスト戦で先発したヴィクトル・リンデレフとハリー・マグワイアの両CBはスピードに不安があるため、エリク・テンハフ監督が推し進める高めのライン設定ができない。スライドの意識も低い。

マルティネス不在の5試合が4勝1分というデータはあるものの、リンデレフとマグワイアに絶対の信頼は置けない。

したがって、右からダロ、ワン=ビサカ、ショー、マラシアの並びも考えられる。スコットランド代表では3バックの一角も務めるスコット・マクトミネイが、リーグカップのバーンリー戦でCBに入ったカゼミロが最終ラインに配置される可能性も浮上してきた。

さて、ヴァランとマルティネスの戦線離脱は前線の構成にも波及する。守備陣の負担を軽減すべく、ボールを奪われたあとの即時奪回は最重要課題だ。足を止めず、相手のボールホルダーをひたすら追いかけるヴォウト・ヴェフホーストは必要不可欠だ。

アントニー・マルシャルのプレスが改善しているとはいえ、この男にはフィットネスのリスクが付きまとう。

昨シーズンはラルフ・ラングニック暫定監督がマグワイアやリンデレフを公然と批判し、クリスチャーノ・ロナウドはプレー強度の高いスタイルに不快感を露わにした。終盤11試合は3勝2分6敗。6位に沈んでいる。

テンハフは選手たちに支持されている。彼のスタイルを拒否する者もいない。カゼミロがもたらした勝利への執着も、昨シーズンにはなかった要素だ。開幕から粉骨砕身で勝利に貢献したマルティネスに報いるためにも、弱音は吐けない。

しかし、ユナイテッドはすでに51試合も闘ってきた。終盤に相次ぐ負傷も、疲労が色濃く影響しているのかもしれない。それでも強気の姿勢を崩さないテンハフは、最後の最後まで三冠にこだわっている。基本的には熱く支持したい。

いや、少し冷静になって現状をチェックしてみよう。今シーズンの目標はプレミアリーグで4位以内に入り、チャンピオンズリーグ出場権を奪還することだ。

カップ戦は二の次でも構わない。とくにセビージャとのEL準々決勝2ndレグは、戦線を離脱しているマルティネスとヴァランに加え、ブルーノ・フェルナンデスも累積警告で出場できない。

二兎を追う者は一兎をも得ず──。ターゲットの選定は、リスクマネジメントのひとつでもある。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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