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サッカー フットサル コラム 2023年4月12日

古豪アストンヴィラがキャスティングボードを握った

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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アストンヴィラ

前節はノッティンガム・フォレストを相手に2-0で快勝

プレミアリーグの初年度は2位だった。

最終盤でノリッジ、オールダム・アスレティック、クィーンズパーク・レンジャーズに敗れたものの、優勝したマンチェスター・ユナイテッドと大接戦を演じた。1992-93シーズンは大成功といって差し支えない。

ミッドランズの古豪アストンヴィラである。

当時のチームを率いていたのはロン・アトキンソンだ。イングランド人監督による2位は、95-96シーズンのケヴィン・キーガン(ニューカッスル)と並ぶ歴代最高フィニッシュである。ENGLISH PREMIER LEAGUEでありながら、イングランド人の監督が一度も美酒に酔っていない。

さて、アストンヴィラは81-82シーズンにチャンピオンズカップ(現在のチャンピオンズリーグ)を制し、FAカップ7回、リーグカップ5回優勝と輝かしい実績を誇っている。プレミアリーグがイングランド1部リーグだった当時も7回にわたって王座に君臨しているとはいえ、タイトルから遠ざかって四半世紀以上が経過した。最後の戴冠は95-96シーズンのリーグカップである。

アトキンソン退任後、ジョン・グレゴリー、グレアム・テイラー、ジェラール・ウリエ、ロベルト・ディ・マテオ、スティーヴン・ジェラードなど、およそ20年で20人もの監督(暫定も含め)を起用したが、うまくはいかなかった。

唯一の成功例はマーティン・オニールに率いられた二年間(2006年8月~)だろうか。とくに07-08シーズンは攻撃的なチームを創りあげ、総得点71は優勝したユナイテッドの80、3位アーセナルの74に次ぐリーグ3位の好成績だった。

しかし、オニールが家族の事情で10年8月にクラブを去るとトップ10すらままならず、15-16シーズンにプレミアリーグから降格。4シーズン後に復帰したあとも17位、11位、14位と振るわず、今シーズンの序盤戦には降格圏が迫っていた。22年10月20日、ジェラード監督(当時)が解雇された。

後任はウナイ・エメリである。就任後のプレミアリーグは11勝2分4敗。35ポイントも稼いでいる。12節終了時に17位にまで落ち込み、わずか2勝しかできなかったアストンヴィラが、本稿執筆時点で6位にまで上昇してきた。4位ユナイテッドとは9ポイント差。エメリの修正能力はさすがというしかない。

4-4-2のコンパクトな陣形を保ちながら、マイボールになった瞬間に素早く、分厚く攻め切る基本パターンが瞬く間に定着した。しかも、冬の即戦力はアレックス・モレーノただひとり。要するにエメリは既存戦力をものの見事に使い切り、アストンヴィラを右肩上がりの復調に導いている。

今週末のニューカスル戦を皮切りに、ブレントフオード、フラム、ユナイテッド、ウォルヴァーハンプトン、トッテナム、リヴァプール、ブライトン。フラムを除き、残された相手はチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの出場権、そして残留がかかっている。

すなわちアストンヴィラはプレミアリーグのキャスティングボードを握りつつ、みずからもヨーロッパリーグ、いやいやチャンピオンズリーグの出場権獲得の可能性まで出てきた。

エメリは勝ち方をよく心得た名将だ。ミッドランズの古豪が存在感を増してきた。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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