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サッカー フットサル コラム 2023年4月8日

女子W杯前の最後の遠征 ポルトガル戦で大苦戦した日本女子代表

後藤健生コラム by 後藤 健生
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35分の同点ゴールは左の杉田のサイドから生まれた。杉田が切り返しで相手DFを外して、ペナルティーエリア内の深い位置、いわゆる「ポケット」に走り込んだ田中美南にスルーパス。そして、最後は田中の折り返しをゴール前に走り込んだ長谷川が決めた。杉田のキープによって田中がDFの裏を取り、長谷川がゴール前に顔を出す時間が生まれたのだ。

いずれにしても、両サイドのウィングバックとシャドーの動きが多くのチャンスを作ったのであり、スリーバックは攻撃面では機能していた。

後半には池田監督はメンバー交代を使い、最後の時間帯にはフォーバックに切りかえるなど、いくつかのテストを行った。

まず、ハーフタイムの交代で守屋都弥がウィングバックとして起用された(清水が最終ラインに下がる)。

守屋はやはりスリーバックを採用しているINAC神戸レオネッサでウィングバックとして大活躍している選手。2月のアメリカ遠征でも招集されたが負傷で離脱。ポルトガル戦が代表デビューとなった。ウィングバックの本職として期待は大きかったが、やはり初の代表戦ということで思い切ったプレーができなかったようだ。

53分の逆転ゴールは長谷川からのロングボールを追った田中が右足のアウトサイドで完璧にコントロールし、出てきた相手GKの動きを見て、今度は左足のアウトサイドで浮かせて決めたもの。シュート技術の高い田中らしいゴールだった。

このゴールの直前にも清水からのロングボールに田中が抜け出してGKと1対1になるシーンがあったが、サイドからのクロスは長身のDFに跳ね返されていただけに、相手DFの弱点を見極めて縦に狙いを定めたのだろう。

その後も押し気味で65分に杉田のクロスを藤野が難しい角度からヘディングでゴール左隅を狙った決定機もあったが、これはGKの好守に阻まれた。

そして、日本が1点リードのまま迎えた終盤、同点を目指してポルトガルがロングボールを使うようになった時点で池田監督はシステムを4-4-2に変更した。しかし、フォーバックはまったく機能せず、ポルトガルに押し込まれてしまった。

久しぶりのフォーバックで立ち位置を確認する方に意識が向いてしまい、守備の出足が悪くなったのが苦戦の原因。本来はセンターバックの南萌華が左サイドバックに入り、本来はサイドバックの清水がセンターバックに入るなど最終ラインの構成がアンバランスだったことも苦戦の原因だったかもしれない。交代カードを切りながらの修正だったので仕方がなかったのではあるが……。

さて、日本は4月11日にはデンマークと対戦するが、ポルトガル戦で出てきた課題を一つずつ解決していってほしいものだ。ワールドカップまで、もう“実戦”の機会はごくわずかしかないのだから。

文:後藤健生

後藤 健生

後藤 健生

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授

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