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サッカー フットサル コラム 2023年4月7日

ランパードとチェルシーの間には深い深い因縁がある

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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フランク・ランパード

フランク・ランパード暫定監督

人選としては悪くない。

現地時間4月2日にグレアム・ポッターを解任したチェルシーは、二日後に「フランク・ランパードを今シーズン終了までの暫定監督に起用する」と発表した。

約二年ぶりの復帰である。前回は失敗した。お気に入りの選手としかコミュニケーションを取らなかったり、戦術的なアプローチが稚拙だったり……。後任のトーマス・トゥヘル(現バイエルン監督)がチャンピオンズリーグ優勝に導いただけに、ランパードの非力がクローズアップされた。

その後、エヴァートンでもうまくいかなかった。このクラブは筆頭株主のファルハド・モシリとビル・ケンライト会長が醜い権力闘争を繰り返し、なおかつファイナンシャル・フェアプレーに抵触した疑いが濃厚だ。だれが監督を務めても苦戦する。百戦錬磨のカルロ・アンチェロッティ(現レアル・マドリー監督)でさえ、10位が精いっぱいだった。

したがって、ランパードだけを責めるのはアンフェアだが、2022年1月の着任後、9勝8分21敗。23年1月24日の解雇通告は至極当然である。

こうした事実をふまえると、「おいおい、大丈夫なのか」と首を傾げたくなる。いくらチェルシーのレジェンドでも、監督としての実績はまったくない。

しかも今週末のウォルヴァーハンプトン(以下ウルブズ)戦から、マドリー、ブライトン、マドリー、ブレントフォード、アーセナルと、4月は強豪、難敵との対戦が予定されている。5月はマンチェスターの両チームと、ニューカッスル戦がやって来る。ランパードの力量では不安が付きまとう。

『SKY SPORTS』は、「ルイス・エンリケ(前スペイン代表監督)がシーズン終盤の就任を固辞したため、チェルシーはやむをえずランパードを招聘した」と伝えている。

おそらく、ランパードしかいなかったのだろう。混乱したチェルシーを率いるのはリスクが大きすぎる。L・エンリケだけではなく、新監督候補に挙げられていたマウリシオ・ポチェッティーノ(前パリ・サンジェルマン監督)、ユリアン・ナーゲルスマン(前バイエルン監督)ともに、オファーが届いたとしても断っていたに違いない。

それでもランパードは、お家の一大事に決断した。監督としてのキャリアを再構築するべく、あえて火中の栗を拾った。この勇気は高く評価できる。また、ストレスが募る一方のサポーターも、レジェンドの帰還を歓迎するはずだ。本拠スタンフォード・ブリッジには、いまでも “SUPER FRANKY” のバナーが掲げられている。その人気は絶大だ。

さらに、ランパードに導かれて急成長したメイソン・マウント、リース・ジェームズ、ベン・チルウェルのモチベーションが高まるだろう。

選手個々の能力は申し分ないのだから、あとは彼らをどのようにコントロールするかだ。ポッターは少し戦術的アプローチが過ぎた。ランパードが現役当時に築いた輝かしいキャリアに、ジョアン・フェリックスやエンソ・フェルナンデス、ミハイロ・ムドリクといった冬の新戦力がリスペクトするかもしれない。

公式戦は残り11試合。だれも手を挙げなかったチェルシーの暫定監督に就任したかつての名MFは、愛してやまない古巣を救えるのだろうか。二年前、彼の後任に起用されたトゥヘルは、初戦(ホーム)でウルブズにゴールレスのドロー。奇しくも今週末、ランパード暫定体制はスタンフォード・ブリッジのウルブズ戦から始まる。

ランパードとチェルシーの間には、深い深い因縁があるということか。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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