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サッカー フットサル コラム 2023年2月3日

ボーリーと彼のスタッフはなりふりをかまった方がいい

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ミハイル・ムドリク

新加入ミハイル・ムドリク

なりふりをかまわなすぎる。

エンソ・フェルナンデス、ミハイル・ムドリク、ジョアン・フェリックス、ブノア・バディアシル、ノニ・マドゥエケ、マロ・グスト、アンドレイ・サントス、ダビド・ダトロ・フォファナ……。グストは6月までリヨンにローンバックするものの、チェルシーは1月だけで8人もの新戦力を加えている。

昨年の夏にはラヒム・スターリング、ピエール=エメリク・オーバメヤン、カリドゥ・クリバリ、マルク・ククレジャ、ウェズレイ・フォファナ、デニス・ザカリヤ、アーニー・チュクウェメカ、チェーザレ・カサディを獲得。オーナーのトッド・ボーリーは、計5億8000万ポンド(約928億円!)を二回の市場に投入した。

当コラムや情報番組で何回か指摘したように、20代前半の若者を軸とする補強は先行投資でもある。フェルナンデスとムドリク、W・フォファナはだれもが認めるスーパースター候補生であり、チュクウェメカはセンスの塊だ。

だが、とにかくカネがかかりすぎている。5億8000万ポンド! どのようして回収するのだろうか。ファイナンシャル・フェアプレーの穴を利用した8年前後の長期契約も、イメージは芳しくない。

また、すでに副キャプテンを務めていたジョルジーニョがアーセナルに去り、ローン移籍を申し込んだ相手がエヴァートンでなければ、内部崩壊が進む一方の堕ちた名門でなければ、コナー・ギャラガーも新天地を求めていた公算が大きい。ボーリー体制下の拙速な改造に、疑問を抱く者も少なくないという。

グレアム・ポッター監督のプランには適していないスターリングとクリバリも今シーズンかぎりとの噂が流れはじめ、ルベン=ロフタス・チークもみずからの将来に不安を抱いているようだ。

さらに、チェルシー側の不手際でパリ・サンジェルマンへのローン移籍が破談に終わったハキム・シエシュは、あまりにも不憫だ。彼とパリSGに責任はなく、三度にわたって書類上のミスを犯したチェルシーにはなんらかのペナルティが科されてしかるべきだ。

そしてメイソン・マウントである。チェルシーの下部組織で育ち、新チームのアイコンになるべき男だが、24年6月に満了を迎える現行の契約を延長するか、愛するクラブに別れを告げるか、決心がつかないようだ。エージェントを通じ、リヴァプールに秋波を送ったとの情報もキャッチした。

わずか7か月で16人も獲得した補強プランには、マウントも首を傾げている。本稿執筆時点でトップチームは35名もの大所帯になり、ローテーションしたとしても全選手が満足できる出場機会は与えられない。スモールスクワッドを好むポッターは、冬の補強にどの程度かかわっているのだろうか。

「必要とされるかぎり、わたしはここで闘いつづける」

チアゴ・シウバは力強く残留を宣言した。だが、センターバックは彼を含めて8名もいる。シーズン終了後の大幅な整理は避けられない。ましてチェルシーは高給取りも少なくないため、他のクラブにすれば移籍交渉が難しい。

ボーリーと強化スタッフは自分たちの足もとを見つめなおし、なりふりをかまった方がいい。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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