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バーンリー戦でCB起用だったカゼミロ(右)
プレミアリーグが再開した。
ある強豪は主力の臨戦態勢が整い、とある古豪は相変わらず負傷者が続出している。
また、カタール・ワールドカップにアルゼンチン代表として出場したエミリアーノ・マルティネスは、優勝セレモニーの非常識で下品なパフォーマンスが問題視されている。
「一連の不適切な行動を看過するわけにはいかない」
所属するアストンヴィラのウナイ・エメリ監督も不快感を隠さず、共同オーナーのナセフ・サウィリス、ウェズリー・インテンス両氏も監督の意見を全面的に支持している。出場停止処分、巨額の罰金、最悪の場合は契約解除も考えられるという。ハシャギすぎた代償は大きかった。
さて、マンチェスター・ユナイテッドもカタール大会の影響が色濃く残っている。アルゼンチン代表のリサンドロ・マルティネスは、プレミアリーグにフィットできるコンディションにはほど遠いという。
史上最高にして極上の決勝を闘ったフランス代表のラファエル・ヴァランは現地時間12月27日のノッティンガム・フォレスト戦からスターティング・ラインアップに戻ったものの、回復の度合いは人それぞれだ。
L・マルティネスに関しては12月31日のウォルヴァーハンプトン戦でベンチには入るとの噂があれば、戦列復帰は最短で来年1月4日のボーンマス戦、ともいわれている。現地のメディアも正確な情報をつかみかねているようだ。
もちろん、ユナイテッドのエリク・テンハフ監督は「一日も早く合流」と願っている。ただ、ワールドカップで負った少なからぬダメージを払拭するには、もう少し時間がかかるのかもしれない。
だからこそテンハフは、リーグカップ4回戦のバーンリー戦で、カゼミロをCBに起用したのではないだろうか。
興味深いオプションだ。状況判断にすぐれ、一対一に強く、空中戦でも引けを取らないカゼミロであれば、CBでも通用する。勝利のためならイエロカードも辞さない勝負根性も、ユナイテッドが失って久しい感覚だ。
さらに、ハリー・マグワイアとヴィクトル・リンデレフをスピードで上まわり、中長距離のパスは精度が高い。ダイレクトでもつなげる。 “ボールを保持しながら縦に速く” を身上とするテンハフが創るユナイテッドあれば、カゼミロのCB起用はなるほどとうなずける人選だ。
ユナイテッドのCBはあくまでもL・マルティネスとヴァランがファーストチョイスだ。彼らの前でカゼミロが睨みを利かせ、守備の安定を図る。
だが、現時点で1月5試合、2月6試合という過密日程をこなすには、ローテーションが最も有効な手段だ。エリザベス女王の崩御で延期になったクリスタルパレス戦とリーズ戦は、どこに組み込まれるのだろうか、ヨーロッパリーグとFAカップ、リーグカップで勝ち進んだ場合、過密なんて表現では生ぬるすぎて湯冷めする。
この難関を克服し、チャンピオンズリーグ出場権奪還という最低条件をクリアするには、カゼミロのCBは有効な人材活用法だ。リーグカップだけではなく、プレミアリーグのビッグファイトでもトライした方がいい。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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