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サッカー フットサル コラム 2022年12月14日

サウスゲイトと選手たちの信頼関係はなによりの強みだが・・・

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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イングランド代表 ハリー・ケイン ガレス・サウスゲイト監督

近年で最も好感の持てるイングランド代表をつくりあげたガレス・サウスゲイト監督

「PKを外した私に責任がある」

イングランド代表のハリー・ケインは、フランス戦の敗北をすべて背負う覚悟でいる。しかし、ジョーダン・ヘンダーソンが擁護した。

「ハリーがいたからこそ、私たちはここまで闘えた。彼のいないイングランド代表なんて考えられない。ハリーは強い。一段とたくましくなって、私たちをより高いところへ導いてくれるよ」

また、ジョーダン・ピックフォードとキーラン・トリッピアは、フランス戦終了後にピッチでうなだれるケインを追うテレビクルーに、「頼むから撮らないでくれ。察してやってくれないか」と、キャプテンを守った。

こうした一体感が、イングランドの人々の心にも響いたのだろう。「近年では最も好感の持てるチーム。彼らには明るい未来が待っている」。厳しい論評が目につくギャリー・リネカー氏(元イングランド代表)も高く評価していた。

さて、実に素敵なチームを創りあげたガレス・サウスゲイト監督は、退任を検討している。就任後6年4か月。2018年ロシア・ワールドカップはベスト4、EURO2020が準優勝。そして今回はベスト8。一定の成績は残した。休息も取りたくなる。

選手たちはサウスゲイトを慰留するに違いない。

「すばらしい監督だよ。あなたたちメディアは過小評価しているね」(カルヴィン・フィリップス)
「監督しても人間としても最高。尊敬している」(デクラン・ライス)
「どんなときでも選手を守ってくれる」(ブカヨ・サカ)

サウスゲイトに心酔する声が聞こえてくる。だからこそ、近年で最も好感の持てるイングランド代表が誕生した。

とはいえ、この指揮官は勝ち味が遅い。フランス戦でもジャック・グリーリッシュを投入したのは後半追加タイムだった。しかもジョン・ストーンズが負傷しなかったら、トリッキーなウイングはベンチを温まるだけだった。

FKのチャンスを数多く得たにもかかわらず、ジェイムズ・マディソンも起用していない。結局、彼は一度もワールドカップのピッチに立てなかった。カタール大会に限らず、選手交代のタイミングは遅きに失し、せっかくのタレントを使いきれていない。

サウスゲイトのキーワードは慎重だ。とくにグループステージは負けないことにこだわり、試合内容よりもポイントを優先した。

だが、フランス戦は準々決勝だ。負ければ終わり。したがって78分に1-2とされた後、グリーリッシュやマディソンを早めに投入するとか、空中戦では達人の域に達したハリー・マグワイアを前線に上げてパワープレーを挑むとか、なんらかのプランを立ててしかるべきだった。

選手との信頼関係はなによりの強みだが、サウスゲイトは試合の流れを見誤るケースが多々ある。ライス、サカ、ジュード・ベリンガム、メイソン・マウントなど、現在のチームは若いタレントが揃っている。負傷でカタール大会を棒に振ったリース・ジェイムズ、ベン・チルウェル、ジェイドン・サンチョもポテンシャルは十分だ。

彼らを生かすも殺すも監督しだいだ。さらなる高みをめざすなら、より戦略的な指揮官が必要かもしれない。高級紙『TELEGRAPH』によると、FAは新監督候補をマウリシオ・ポチェッティーノ、トーマス・トゥヘルの二名に絞り、すでに接触したという。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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