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サッカー フットサル コラム 2022年12月9日

エムバペはフランス最大の強みだが不安要素でもある

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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フランス代表キリアン・エムバペと対峙するポーランド代表マティ・キャッシュ

ドリブルで攻撃を仕掛けるキリアン・エムバペ、対峙するマティ・キャッシュ

あの男は反則だ──。

キリアン・エムバペである。彼にボールが渡った瞬間、スタジアムがざわつく。ワールドカップ連覇に挑むフランスのエースは小細工を一切ろうせず、驚異的なスピードでマーカーを置き去りにする。スペースがあろうがなかろうが、相手DFが引っかけたり、つかんで止めようとしたりしても、嵐のようなドリブルで突き進んでいく。

ラウンド16でフランスと対戦したポーランドは、主にマティ・キャッシュがエムバペと対峙した。右サイドバックとして大きなミスは犯していないが、MFと連携し、2対1の数的優位に持ち込んでも止められないシーンすらあった。手の施しようがない。

さて、エムバペとフランスは準々決勝でイングランドと相まみえる。ラウンド16まで12得点・2失点。イランやウェールズなど、グループステージの対戦相手に恵まれたとはいえ、まだまだ余力十分だ。

攻撃陣にハリー・ケイン、ブカヨ・サカ、フィル・フォーデン、マーカス・ラシュフォード、ジャック・グリーリッシュといったタレントを擁し、中盤にもデクラン・ライス。ジョーダン・ヘンダーソン、ジュード・ベリンガム。フランスにとっては難敵だ。

もちろん、エムバペの突破力を踏まえれば、フランスがアドバンテージを握る公算は大きい。右サイドバックのカイル・ウォーカーを押し込み、サポートに入るヘンダーソンの動きも制限できるだろう。アントワーヌ・グリーズマンの巧みなボールさばきは、ベリンガムの攻撃関与を抑制するに違いない。

しかし、11月30日の当コラムでも指摘したように、フランスの弱点はエムバペの背後だ。守備意識が薄く、ボールロスト後の反応が鈍いため、サイドに流れながら攻撃の起点となるケインに、恰好のスペースを与えかねない。

また、エムバペが対戦相手のビルドアップにも無関心なことから、第一ディフェンダーのタスクはほぼオリヴィエ・ジルーに限られる。イングランドの左サイドバックを務めるルーク・ショーは、大外の使い方とインナーラップのタイミングが絶妙だ。ジョン・ストーンズとハリー・マグワイアの両センターバックは、精度の高いロングフィードで局面を打開する。ジルーひとりではカバーできない。

フランスの個は強烈だ。対戦相手がガードを固めても隙を狙いつづけ、エムバペのワンパンチで仕留める。カウント8で立ち上がっても、グリーズマンが、ウスマヌ・デンベレがダメージを与え、エムバペが叩きのめす。

ただ、エムバペは最大の強みであると同時に、不安要素でもある。イングランドはポゼッションで、カウンターで、なおかつセットプレーでも得点できる。グループステージ第2節のアメリカ戦から3試合連続無失点。被決定機も数えるほどだ。

ベンチワークも含めた地力、経験値でフランスが上まわるものの、イングランドも十分な火力を装備している。一方的な展開にはなりそうもない。ド迫力の殴り合いか!

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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