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サッカー フットサル コラム 2022年12月7日

ゴールデンエイジと呼ばれる男たちの悔恨と凋落

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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ベルギー代表ロメル・ルカクとクロアチア代表ルカ・モドリッチ

ベルギー代表ロメル・ルカク、クロアチア代表ルカ・モドリッチ

“ゴールデンエイジ” と呼ばれる男たちがいた。

2006年のドイツ・ワールドカップに臨んだ日本代表には、中田英寿、中村俊輔、小野伸二、稲本潤一という絢爛豪華な中盤が揃っていた。史上最強との呼び声も高く、国民の期待は膨らんでいたが、グループステージで敗退。

「お互いがお互いを意識しすぎていた。チームとはいえない」

後に、中村が悔恨を口にしている。

2010年・南アフリカ大会のイングランド代表はスーパースターの集合体だった。マンチェスター・ユナイテッドのウェイン・ルーニー、マイケル・キャリック、リヴァプールからスティーヴン・ジェラード、ジェイミー・キャラガー、チェルシーはジョン・テリー、アシュリー・コール、フランク・ランパード……。

ただ、各クラブ間のライバル意識が強すぎ、宿泊施設もロッカールームもつねにピリピリしていた。なかでもリーダーシップを欲していたテリーは、ファビオ・カペッロ監督(当時)やキャプテンのジェラードにも内緒で記者会見を開き、チーム内で顰蹙を買う。イングランドはラウンド16でドイツに敗れている。

さて、カタール・ワールドカップのベルギー代表である。

FIFAランキング2位? 世界一信ぴょう性に欠けるランキングだ。鵜呑みにしてはいけない。優勝候補の一角? 予選やネーションズリーグを見るかぎり、それほど強くはない。

「われわれのピークは2018年のロシア・ワールドカップだ。あれから四年、多くのタレントを失った。優勝なんかできるはずない」

キャプテンのケヴィン・デブライネも、大会前から凋落を認めていた。ヤン・フェルトンゲン、トビー・アルデルヴァイレルト、アクセル・ヴィツェルなど、ロシア・ワールドカップ3位の原動力はいずれも30代だ。同世代のエデン・アザールは負傷の影響が色濃く、本来の出来にはほど遠い。

さらに、デブライネとティボ・クルトワは人間関係をめぐって仲たがいし、修復不可能といわれるほどの深い溝がふたりの間にはある。E・アザールとフェルトンゲンが殴り合い、ロメル・ルカクが仲裁したとの噂も飛び交った。

しかも、ロベルト・マルティネス監督は求心力が低く、選手たちを掌握できていない。

「たしかに今回のチームはなにかと問題がある」

大会期間中に愚痴をこぼす監督に、だれが従うというのだろうか。

ラウンド16に進出できなかった責任をとる形で、マルティネスは任を解かれた。後任はコーチのティエリ・アンリが昇格するのか、もしくはASモナコのフィリップ・クレマン監督を招聘するのか。

前キャプテンのヴァンサン・コンパニを推す声も聞こえてくるものの、彼はいま、チャンピオンシップ(実質イングランド2部)のバーンリーを、極めてテクニカルなチームに改造中だ。代表監督に興味はない。

いや、だれが新監督に就任しても再建は難しい。E・アザール、フェルトンゲン、アルデルヴァイレルト、ヴィツェルは今大会を最後に代表から退く公算が大きい。デブライネも31歳になった。彼らゴールデンエイジはなにひとつタイトルを獲れず、次世代の台頭も著しくはない。

グループステージ最終節でクロアチアに勝てず、ワールドカップからの撤退が決まった後、ヴィツェル、ジェレミ・ドク、トマ・ムニエ、アルトゥル・テアテ、ロイス・オペンダは、彼ら5人だけで帰国の途についた。森保ジャパンのような一体感は、どこを探しても見当たらない。

ベルギーは個々の歪が隙を招き、隙が崩壊に直結した。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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