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サッカー フットサル コラム 2022年11月30日

理不尽なほどの攻撃力を有するフランスの不安材料とは

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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キリアン・エムバペ

キリアン・エムバペは2試合で3得点

王者の底力、かくも香しき──。

2戦2勝。フランスはオーストラリアとデンマークを連破し、カタール・ワールドカップのラウンド16に進出した。

万全にはほど遠い状態だ。ことしの秋口にはポール・ポグバとエンゴロ・カンテの欠場が明らかになり、大会直前にカリム・ベンゼマとプレスネル・キンペンペが、開幕後はクリストファー・エンクンクとリュカ・エルナンデスが、いずれも負傷のために戦線離脱を余儀なくされている。

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仮にイングランドがデクラン・ライスとカルビン・フィリップスを欠き、ハリー・ケイン、ジュード・ベリンガム、ジョン・ストーンズ、ルーク・ショーまで失ったとしたら、アメリカ戦で敗れていたに違いない。

さて、フランス連勝の最大要因は攻撃、とくにキリアン・エムバペとウスマヌ・デンベレの両ウイングである。速く強く、しなやかだ。一度減速しても瞬く間にトップギアに切り替えられる運動能力は、一対一では止められない。オーストラリアもデンマークもサイドで主導権を握られ、苦しい時間帯が長く続いた。

また、フランスの両ウイングを止める手段としてファウルを用いた場合、アントワーヌ・グリーズマンのFKがもれなく付いてくる。精度の高いキックから、オリヴィエ・ジルーをはじめとするストロングヘッダーの空中戦。チームの得点源で、2022年のバロンドールに輝いたベンゼマが不在にもかかわらず、魅惑のアタッキング・フットボールを見せるのだから、さすが「世界チャンピオン」というしかない。

しかも、わずか2試合でラウンド16進出を決めたため、チュニジアとの第3戦は小休止だ。エムバペ、デンベレ、ジルー、グリーズマンなどは完全休養。ここまで出番のないアクセル・ディサシ、マッテオ・ゲンドゥージ、ユースフ・フォファナの先発も考えられ、今シーズン、アーセナルでブレイクしたウィリアム・サリバが、CBの一角に起用される可能性も高くなってきた。

しかし、ラウンド16からは強豪との対戦が相次ぐ。フランスが理不尽なほどの攻撃力を有していたとしても、グループステージで時おり露呈した曖昧なプレスは命取りになりかねない。

なかでもエムバペだ。守備のタスクが免除されているのか、相手ボールになった際に深い位置まで戻ってこない。したがって対戦相手の右サイドがフリーになり、フランスは左サイドバックが危険にさらされていた。中盤インサイド、あるいはセンターバックがスライドして対応したとはいえ、全体のバランスが崩れるケースも少なくはなかった。

ラウンド16の相手はアルゼンチンだろうか。アンヘル・ディ・マリアは魔法のようなテクニックを持っている。ベスト8はイングランド戦だろうか。ブカヨ・サカ、メイソン・マウント、マーカス・ラシュフォードなど、右サイドのタレントは枚挙の暇がない。

エムバペの動きを多少は制限するのか。あるいは自由に振る舞うのか。フランス連覇のカギは、新時代のエースが握っている。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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