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サッカー フットサル コラム 2022年11月26日

政治に翻弄されるワールドカップ カタールの人権問題とは何なのか?

後藤健生コラム by 後藤 健生
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2022年ワールドカップのカタール開催は2010年のFIFA理事会で決まったのが、視察チームによる事前評価では最下位だったカタールが選ばれたことで、当時から「裏金(=理事たちへの働きかけ)が動いたに違いない」の疑惑が取りざたされていた。

そして、小国にとっては不必要なスタジアムを8つも建設するのは環境への負荷だとした批判も強かった。

そして、カタール開催に関連して最も強く批判されたのがこの独裁国家での人権問題だった。

豊富な資金を持つカタールは、アフリカ大陸やインド亜大陸出身の大量の労働者を使ってインフラ整備を行ってきた。人口300万人というカタールだが、実はその80〜90%が外国人出稼ぎ労働者なのだ。気温が50度に迫るような夏のカタールで過酷な労働を強いられ、多くの労働者が生命を落としていると言われている。

もちろん、彼らは自ら希望してカタールにやって来たのであり、彼らが本国に送金することで家族を養えているのは事実だが、これが“搾取”に当たることは間違いない。

そして、ワールドカップのスタジアムを建設したのもこうした出稼ぎ労働者たちであり、そこでも多くの労働者が命を落としたと国際人権団体は批判している。カタール政府はそれを否定し、FIFAもワールドカップ開催によって労働者の地位や待遇が改善されたとしてきたが、大会開幕後の11月24日にはEU(欧州連合)議会が「数千人の労働者が死亡した」として、性的少数者の差別問題も含めてカタール批判決議を採択するに至った。

僕は現在カタールに滞在中なのだが、大会前に1泊1万円で宿泊できる部屋を確保することができた。ドーハの南、アルワクラ市にある施設で南北2キロ、東西1キロ程度の広大な敷地に3階建てのほとんど同じデザインの宿舎がびっしりと立ち並んでいる。

この宿舎群は、ワールドカップ終了後には出稼ぎ労働者の宿舎となり、今、僕が1人で泊っている部屋には2段ベッドが3つくらい並べられるのだろう。計算してみると、この施設だけで数万人規模の労働者を収容できるはず。敷地の周囲には高い壁が張り巡らされており、脱出することが不可能になっている(もっとも、パスポートを取り上げられた労働者たちとしては、脱出できたとしても行くところがないのだが……)。

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