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サッカー フットサル コラム 2022年11月4日

リヴァプールの有望株はクロップの情熱によって大輪の花を

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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試合中に白熱するユルゲン・クロップ監督

試合中に白熱するユルゲン・クロップ監督

ルイス・ディアスとアルトゥール、ディオゴ・ジョタは次節のトッテナム戦を欠場する。ふくらはぎを痛めているジョエル・マティプ、ナビ・ケイタの出場も危ぶまれ、チャンピオンズリーグ第6節のナポリ戦で頭部を負傷したジェイムズ・ミルナーも、37歳という年齢を踏まえると無理強いはできない。

いつになったらリヴァプールはベストメンバーで闘えるのだろうか。

今シーズンは苦戦続きだ。チャンピオンシップ(2部相当)から昇格してきたフラムに2-2のドロー、不振にあえいでいたころのマンチェスター・ユナイテッドに1-2の敗北を喫し、好調アーセナルにも2-3で屈している。

その後、宿敵マンチェスター・シティに1-0の勝利を収め、「いよいよ復活」かと思わせたが、ノッティンガム・フォレストに0-1、リーズに1-2。プレミアリーグ優勝に向け、序盤で4敗はあまりにも痛すぎる。

不振の要因はふたつ。第一に冒頭で挙げた負傷者続出だ。だれかが戦列に戻ってくると、また違うだれかが離れていく。ローテーションもままならず、一部の主力に負担がかかり、疲労蓄積。当然、ケガのリスクが高くなり、戦力が削がれる。いわゆる “負の連鎖” だ。

もうひとつはモチベーションの低下だ。昨シーズン、最終盤まで四冠の可能性を残していたものの、結局はFAカップとリーグカップの二冠に終わった。プレミアリーグはシティに、CLはレアル・マドリーに、あと一歩のところでブロックされている。このショックが大きかったのだろう。

心のダメージがプレーに直結し、判断の遅れを招いたとも考えられる。フィルジル・ファン・ダイクが顕著な例で、今シーズンの彼はラインの上げ下げやカバリングなど、怠惰に感じられる対応が目立つ。

また、ファン・ダイク、ミルナー、マティプ、モハメド・サラー、ジョーダン・ヘンダーソンといった主力が三十路を迎えて回復力が鈍っていることも、少なからぬ影響を及ぼしている。中三、四日のハードワークが難しくなってきた。

おそらく、リヴァプールは過渡期を迎えたのだ。ユナイテッドとアーセナルはおいしかった時代を引きずりすぎ、シティにも新旧交代の時期はいずれ必ずやって来る。

この3~4シーズン、リヴァプールは魅力的なフットボールを展開してきた。したがって、今シーズンとの落差に多くのサポーターが戸惑っているのだろう。ユルゲン・クロップ監督が率いていた当時のマインツ、ドルトムントが、七年目で落ち込んでいる事実も不安に拍車をかけている。ドイツ人の名将がリヴァプールに着任したのは、15年10月だ。

しかし、こんにちのリヴァプールを築いた最大の要素は、間違いなくクロップの情熱であり、彼なくして名門復活はありえなかった。一部のメディアが唱える限界説、マンネリ、解任には首を傾げるしかない。

現チームの主力に衰えが忍び寄っているとはいえ、カーティス・ジョーンズ、ハーヴィー・エリオット、ファビオ・カルヴァーリョなどの有望株は大輪の花を咲かせる可能性が高い。トレント・アレクサンダー=アーノルドとアンドリュー・ロバートソンは、クロップの指導によって世界最高クラスの攻撃型サイドバックに成長した。

ほんの少しだけ時間がかかるかもしれないが、それは産みの苦しみ。リヴァプールはクロップのもと、CLとプレミアリーグ制覇に向け舵を切るべきだ。解任など、もってのほかである。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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