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サッカー フットサル コラム 2022年10月21日

常時スタメン・フル出場は、ちょっとできない相談だ

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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試合終了を待たずにドレッシングルームに引きあげるロナウド

試合終了を待たずにドレッシングルームに引きあげるロナウド

確実に上向いている。

ブライトン、ブレントフォードに連敗。2試合合計で6失点を喫した開幕当初はほんのわずかな希望すら持てなかったマンチェスター・ユナイテッドだが、その後は6勝1分1敗。6勝のなかにはリヴァプール、アーセナル、トッテナムとの一戦も含まれ、ゴールレスのドローに終わったニューカッスル戦も、主審を務めたクレイグ・ポーソンの超不可解なジャッジさえなければ、少なくとも2-1で勝っていた。

あっ、マンチェスター・ダービーは忘れちまおうぜ。

復調の最大要因は、エリク・テンハフ監督が求めるハードワークが浸透しはじめたことだ。ブレントフォード戦で94・6kmに終わった走行距離が、トッテナム戦では114・5kmに増えている。その差およそ20km!

ガッチガチにマークされている味方にパスを出したり、高速のパスをダイレクトで交換するために蹴りそこなったり、まだまだミスは散見するものの、テンハフ就任後およそ四か月。再構築の過程なのだから目くじらを立てる必要はない。

さて、クリスチャーノ・ロナウドである。

2-0の勝利を収めた12節のトッテナム戦では途中出場を拒否し、試合終了を待たずにドレッシングルームに引きあげていった。チームの輪を乱す行為であり、テンハフが出場停止処分を科したのは当然だ。

長い歴史のなかで、ユナイテッドは監督と主力の対立が数多く表面化している。サー・アレックス・ファーガソンはロイ・キーン、デイヴィッド・ベッカム、ヤープ・スタム、ルート・ファン・ニステルローイと、ジョゼ・モウリーニョはポール・ポグバ、ルーク・ショーと険悪になり、オーレ・グンナー・スールシャールはアレクシス・サンチェス、ロメル・ルカクとの間に大きな溝ができていた。デイヴィッド・モイーズとラルフ・ラングニックは総スカンだった。

テンハフはC・ロナウドのキャリアに最大限の賛辞は惜しまないが、依怙贔屓もしない。稀代のスーパースターとはいえ、家庭の事情によりプレシーズンマッチで調整できなかった。常時スタメン・フル出場を望んでいたとしたら、それはちょっとできない相談だ。

ましてトッテナム戦から中一日でチェルシー戦がやって来る。ローテーションを図るのは妥当であり、テンハフがC・ロナウドのコンディションに気を遣ったとも考えられる。

テンハフはファーガソンのように短気でもなければ、モウリーニョのように毒舌は吐かず、ラングニックのように上から目線でもない。ユナイテッドの現状と今後のプランを、C・ロナウドに理路整然と説明するだろう。新しい時代がやって来たのだ、と。

「周囲にはつねに敬意を表してきた。模範を示そうとしてきたけれど、ときには空気に流される」
「われわれはマンチェスター・ユナイテッドだ。団結しなくてはならない」

SNSを通じ、C・ロナウドが心情を吐露している。はたして、彼の気持ちはユナイテッドにあるのだろうか。契約解除に向け、エージェントのジョルジュ・メンデスがミーティングを設定した、との情報も飛び交いはじめた。

上げ潮ムードに、水を差さなければいいのだが……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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