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サッカー フットサル コラム 2022年10月7日

アレクサンダー=アーノルドは気分よくプレーできない

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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アレクサンダー=アーノルド

代表でベンチを温めるアレクサンダー=アーノルド

イングランド代表の右サイドバックは花盛りである。

リース・ジェイムズ、カイル・ウォーカー、キーラン・トリッピア、9月のUEFAネーションリーグ(UNL)には選ばれなかったものの、今シーズンはキッレキレのカイル・ウォーカー=ピーターズ、将来をおおいに嘱望されるティノ・リヴラメントなど、質量とも世界最強といって差し支えない。

さて、トレント・アレクサンダー=アーノルドはUNLで出番に恵まれなかった。イタリア戦はベンチを温め、ドイツ戦は最終23人の選手リストからも除外されている

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「使う気がないのなら、イングランド代表に呼ぶ必要はない。リヴァプールの練習場で休養とトレーニングに努めていたほうが、トレントのためでもある。だいたい、なぜトリッピアが選べられるのだ? もちろん、彼も有能なディフェンダーだが、トレントの方がはるかにすぐれている」

元イングランド代表で、引退後はときに的を外しながら、あるときは的確、かつ過激なコメントで物議をかもすガブリエル・アグボンラホールが噛みついた。イングランド代表のガレス・サウスゲイト監督も黙っちゃいない。

「トリッピアはオールラウンドにトレントよりまさっている」

いってはいけないひと言だった。サウスゲイトの戦略・戦術にはトリッピアが適していたとしても、アレクサンダー=アーノルドを否定するような発言は監督として失格だ。

たしかに今シーズンのアレクサンダー=アーノルドは精彩を欠き、10月1日の ブライトン戦も含めて失点にからむシーンも散見する。しかし、それならば今回のUNLは招集を見送り、「11月のカタール・ワールドカップには万全のコンディションで頼むよ」と、奮起を促せばいい。ただそれだけの話である。

「トリッピアより下」といわれたアレクサンダー=アーノルドが、サウスゲイトのもとで気分よくプレーできるはずがない。

今回の一件に関し、アレクサンダー=アーノルドが所属するリヴァプールのユルゲン・クロップ監督は、次のように語っている。

「トレントは優秀なディフェンダーだが、つねに満点の守備をしてるわけではない。ミスをしない選手がどこにいるというのだ」

フィルジル・ファンダイクもかわいい弟分をかばった。

「俺たちはみんな、トレントの実力をよく知っている」

リヴァプールの総意である。大切な選手を代表監督に否定されたのだから、FAとサウスゲイトに謝罪のひとつも要求したくなる。

マンチェスター・ユナイテッドでレギュラーから降格したハリー・マグワイアを2試合とも先発に起用したかと思えば、そのマグワイアがドイツ戦で右大腿部を痛めたにもかかわらず、交代カードを切らなかった。明らかにサウスゲイトの不手際だ。UNLは3分3敗。ひとつも勝てなかったイングランドは、リーグAからBに降格した。

それでもサウスゲイトは妙な自信にあふれ、「わたしこそ代表監督にふさわしい」と決意を新たにしているが、アレクサンダー=アーノルドに対する発言で多くのクラブが疑念を持ちはじめた。あの男に大切な選手を預けて大丈夫なのか。

公の場で選手を批判した監督の求心力は、必ずといっていいほど低下する。七年前、チェルシーを率いていた当時のジョゼ・モウリーニョは、選手とサポーターに支持されていたメディカルスタッフのエヴァ・カルネイロを記者会見で責め、完全に孤立した。今シーズンの読売ジャイアンツでは、原辰徳監督が不振の責任を岡本和真と桑田真澄コーチに転嫁し、チームは崩壊寸前と伝えられている。

カタール・ワールドカップ開幕までおよそ一か月半。イングランド代表のムードは芳しくない。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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