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サッカー フットサル コラム 2022年9月16日

カンテの “愛されキャラ” をエージェントが根底から覆す?

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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エンゴロ・カンテ

エンゴロ・カンテ

契約更新をめぐる駆け引きが始まった。

エンゴロ・カンテは、チェルシーが提示した二年契約(一年更新のオプション付)に難色を示したという。

昨年夏から、双方は何回か交渉のテーブルに着いている。ロマン・アブラモヴィッチ前オーナーもカンテを高く評価し、二年の契約延長を打診していた。しかし、カンテが長期の更新にこだわったため、サインには至らなかったとの情報も飛びかっている。

カンテが求める長期とは何年なのか。現時点では明確になっていないが、、今年3月に31歳になり、近ごろはケガも増えてきた。クラブ側にすると長期契約はリスクが大きい。一年更新のオプションが付いた二年延長は妥当な条件で、カンテが頑なに拒否すると交渉は物別れに終わる危険度が高くなる。

プレミアリーグの各クラブも30代の選手とは単年、長くても二年の更新が主流であり、今夏、レアル・マドリーからマンチェスター・ユナイテッドに移籍した31歳のカゼミーロは五年契約だが、これはきわめて稀なケースだ。

「来年6月で現行の契約が切れるのだから、こちらの条件を呑んでほしい」

双方の言い分は変わらないものの、雇う側と雇われる側では感覚が異なるということだ。

さて、レスターでプレーしていた当時から、カンテはカネにうるさくなかった。したがって、現在の週給(29万ポンド=約4700万円)に満足しているに違いない。やはり、エージェントの『KDS Football Management』(以下KDS)が、より多くの仲介料を欲しているのではないだろうか

カンテが “愛されキャラ” であることは周知の事実だ。しかし『KDS』の強欲が、そのイメージが根底から覆す恐れすら出てきた。

1ポンドでも多く得る、だけがエージェントの仕事ではない。顧客のイメージアップに努め、なにかトラブルがあったときは身を挺して守る。

強引な手法で評判は悪かったが、ミーノ・ライオラ(故人)はあらゆる手段を講じてズラタン・イブラヒモヴィッチの、ポール・ポグバの “用心棒” になった。ジョルジュ・メンデスは、いまでもクリスチャーノ・ロナウドが働きやすい場所を探しつづけている。

エージェントの交渉しだいで、選手のイメージはガラリと変わる。かつて、ウェイン・ルーニーを顧客にしていたジョシュ・バーネットは、メディアコントロールでアレックス・ファーガソンに手も足も出なかった。

「チェルシーへの移籍を希望している」とファーガソンが匂わせた瞬間、ユナイテッド・サポーターはパブリックヒーローだったはずのルーニーを敵視するようになった。バーネットの不遜な交渉が、ファーガソンを怒らせた結末である。実際、両クラブ間で具体的な話はいっさい進んでいなかった。

『KDS』はうまく立ちまわれるだろうか。ベーリーはロサンゼルス・ドジャーズも所有している。アメリカのメジャーリーグ・ベースボールは複雑怪奇な巨額の契約がまかり通る。この男を甘く見ると、『KDS』は痛い目に遭うだろう。ひいてはカンテも……。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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