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サッカー フットサル コラム 2022年5月6日

シティが世界のテッペンに立つ日はいつか必ずやって来る

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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フェルナンジーニョと抱き合うグアルディオラ監督

フェルナンジーニョと抱き合うグアルディオラ監督

マンチェスター・シティはなにひとつとして間違っていない。

72分、運動量が落ちてきたケヴィン・デ・ブライネに代わってイルカイ・ギュンドアンを投入。その1分後にリヤド・マフレスが左足で突き刺し、4-3の勝利を収めたチャンピオンズリーグ準決勝第一戦も含め、リードは2点に拡がった。

87分にはジャック・グリーリッシュが立て続けにビッグチャンスを迎え、レアル・マドリー守備陣の好守に阻まれたとはいえ、シティの決勝進出はだれの目にも明らかだったはずだ。85分にはマフレス→フェルナンジーニョという選手交代で、試合をたたむ手はずも整えた。

しかもマドリーは、最終盤を迎えても枠内にシュートを撃てていない。しかし……。

90分、カリム・ベンゼマのクロスからロドリゴにゴールを許した。1分後、またしてもロドリゴだ。さらに延長前半5分、ベンゼマにPKを決められた。あのシティがわずか10分程度で3失点するなど、常軌を逸した展開ではないか。

やはり今シーズンのマドリーは、とくにCLのサンチャゴ・ベルナベウには一種異様な雰囲気、いうなれば “魔力” すら感じられる。ラウンド16のパリ・サンジェルマン戦、準々決勝のチェルシー戦も、信じられないようなドラマを間近に見たマドリディスタは陶酔した。

これが伝統の力なのだろう。アルフレド・ディ・ステファノ、レイモン・コパ、フェレンツェ・プスカシュ、ラウール・ゴンサレス、ジネディーヌ・ジダン、クリスチャーノ・ロナウドなど、偉大なる先達のDNAがクラブに浸透しているからこそ、逆境の連続でも挫けはしない。クラブ創設120年の成せる業だ。

一方、シティは歴史が浅い。クラブ創立は1880年。マドリーより22年も早く誕生しているが、フットボール界に認識されたのは2008年に『アブダビ・ユナイテッド・グループ』が買収してからだ。

また、CLで優勝候補の一角に挙げられたのも、ジュゼッペ・グアルディオラ監督が就任した16-17シーズン以降である。マドリーのようなDNAは存在しない。

ただ、グアルディオラ監督は実に魅力的なチームを創っている。ショートパスをテンポよく、なおかつスピーディーにつなぐスタイルは世界のトレンドだ。相手のボールホルダーを瞬く間に包囲し、ショートカウンターに持ち込む “様” は美しく、なおかつ迫力がある。

16-17シーズンから昨シーズンまでにプレミアリーグを3回も制し、残る2シーズンは2位と3位。CLも16-17シーズンこそラウンド16で敗れたものの、ベスト8が3回。昨シーズンはファイナリスト。リーグカップは17-18シーズンから4連覇。ペップ・シティの快進撃を示すデータだ。

“サンチャゴ・ベルナベウの魔力” に屈したとはいえ、シティが世界でも指折りの強豪であることに疑いの余地はない。来シーズンは、アーリング・ハーラン(ドルトムント)がおそらく加入する。フィル・フォーデンは試合を重ねるごとに天賦の才能が磨かれ、カイル・ウォーカーは速すぎるし強すぎる。そしてグアルディオラ監督は、来年6月末日に満了を迎える現行の契約を、2025年まで契約を延長する見込みだ。

近い将来、シティが世界のテッペンに立つ日は必ずやって来る。マドリー戦の敗北は単なる通過点だ。きっといつか、笑い話に変わる。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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