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サッカー フットサル コラム 2022年1月18日

久保の芸術的FK炸裂!マジョルカがエスパニョールを破りコパ・デルレイ8強入り。

木村浩嗣コラム by 木村浩嗣
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久保建英

芸術的なFKを決めた直後の久保建英

久保建英の見事なFKの映像は日本にも届いていることだろう。こちらでも「芸術的」と表現されたゴールだ。多分、今季のリーガ勢のFKではナンバー1の美しさ。メッシのそれと比較してもまったくそん色ない(メッシの名FK集と比較してほしい)。もちろん、何本も決められるからメッシは素晴らしいのだが、単体の難度と美しさだけで言えば同等だ、と思う。

久保がボールを置いた時、壁を越えて枠を捉えるには少し近過ぎるかな、落ち切れないかなと思ったが、想像以上に速く鋭く曲がって落ちた。ボールが飛び込んだところは右上隅ではなく、右ポスト脇のGKが真横に跳んだくらいの高さ。壁がジャンプしていたことから考えると、頭上を越えた後いかに急激に落下したかがわかる。この落差がセーブを困難にしたのだと思う。

決められたGKディエゴ・ロペスは盛んに壁の3人、左からラウール・デ・トマス、ディマタ、ペドロサを怒鳴っていた。

セオリー通りちゃんとジャンプしていたし壁に落ち度はないように見えたが、あった。蹴る直前にラウールとディマタが並びを入れ替えていて、ボールは178cmのラウールの頭上を越えた。これ、185cmのディマタだったら壁に当たっていたかもしれない。そのくらいギリギリの唯一の軌道を描いたゴールだった。

枠を捉えるには、久保から見て壁の左端を越えるしかなかった。真ん中や右端だとサイドに切れてしまっていただろう。そういう意味で最も長身のディマタを左端に置くGKの指示は正しかったのだが、壁の咄嗟の閃きで勝手に替えてしまった。で、それが裏目に出た。ディエゴ・ロペスが怒って当然である。

チームとしてのマジョルカにはいくつか発見があった。

まず、前節のリーガ、レバンテ戦でもそうだったが、GKの交代が良い目に出た。ベテランのマノロ・レイナよりも若手のレオ・ロマンの方がショートでもロングでもキックが正確で、ボール出しの精度が上がる。それによってマイボールの時間が長くなり、日本のファンからすれば久保を見る機会も増える。

二つ目は、アマト、アブドン・プラッツの2トップがなかなか良いこと。スピードのあるアマトは裏抜けができ、アブドンはDFを背負ってもプレーがぶれない。下がってクサビを受けても、ハイボールを競ってもマイボールにしてくれる。2人が組んだ[4-4-2]であれば、イ・カンインが入った通常の[4-2-3-1]のオプションとなるかもしれない。

エスパニョールを破り8強入りしたことでコパ・デルレイはマジョルカにとって当面の最重要コンペティションになった。なにせ、準々決勝は一発勝負で準決勝はホーム&アウェイだから、3試合勝てば決勝進出。4試合勝てば優勝である。

8強進出を決定済みなのは、他にバレンシア、ラジョ・バジェカーノ、カディス、ベティス。これにソシエダ対アトレティコ・マドリーの勝者、アスレティック・ビルバオ対バルセロナの勝者、エルチェ対レアル・マドリーの勝者が加わる。

まずは3強が勝ち残るかどうか、次にスペイン時間1月21日午後12時半からの抽選で、マジョルカがどこと当たるかに注目したい。

文:木村浩嗣

木村浩嗣

編集者、コピーライターを経て94年からスペインへ。2006年に帰国し『footballista フットボリスタ』編集長に就任。08年からスペインに拠点を移し特派員兼編集長に。15年編集長を辞し指導を再開。スペインサッカーを追いつつセビージャ市王者となった少年チームを率いた。現在はグラナダ在住で映画評の執筆も。

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