エヴァートンの新監督リストにはランパードの名前がある！？

チェルシー監督時代のランパード

レスターのブレンダン・ロジャーズ監督はモテモテである。

ジョゼップ・グアルディオラ監督退任後のマンチェスター・シティを率いる最有力候補とか、無為無策を露呈しつづけるオーレ・グンナー・スールシャール監督に代わり、年内にもマンチェスター・ユナイテッドの指揮官に就任するとか、ポジティブな話題が非常に多い。

3週間前にユナイテッドのジョエル・グレイザー（オーナー）と会談。双方ともに好感触を得た、との情報まで飛び交いはじめている。

「私がユナイテッドの新監督！？　ありえない、ありえない。現実的ではないよ」

ロジャーズ本人は一笑に付しているのだが……。

仮にロジャーズがユナイテッドの監督に就任した場合、レスターはだれを後釜に据えるのか。イングランドの一部メディアは、フランク・ランパードを最有力候補に挙げていた。

今夏はクリスタルパレス、つい先ごろはノリッジの新監督候補といわれていたが、ともに条件面で折り合いがつかなかった。ただ、ランパードは現場復帰を強く希望しており、クリスタルパレスやノリッジよりも知名度の高い古豪に照準をセットしているらしい。

レスターではなく、エヴァートンだ。

ロベルト・マルティネス（現ベルギー代表監督）が2013年6月から丸3年務めた後、ロナルド・クーマン（前バルセロナ監督）は1年4か月、サム・アラダイス（前ウェストブロム監督）は6か月、マルコ・シウバ（現フラム監督）も1年7か月と、監督交代のサイクルは決して長くない。

しかも、シウバに代わって19年12月に着任したカルロ・アンチェロッティが、5月いっぱいでレアル・マドリーに去ったため、慌ててラファエル・ベニテスを6月30日に招聘した経緯がある。OBのアシュリー・ウィリアムズも、「劇的に代える必要はない」と語っていた。たしかに、5か月足らずの解任は拙速だ

しかし、成績が芳しくない。直近5試合は2分3敗。ホームのワトフォード戦で5点も奪われるなど、多くのエヴァトニアンがベニテスの手腕を疑いはじめているという。

いや、彼はリヴァプールを率いていた当時、「エヴァートンはスモールクラブ」と発言した。もともと心証はよろしくないのである。

また、今週末からマンチェスター・シティ、ブレントフォード、リヴァプール、アーセナル、クリスタルパレス、チェルシー、レスターと続くスケジュールも、ベニテスにとっては逆風だ。

上位との対戦は苦戦必至。ブレントフォードとクリスタルパレスは、プレッシングの強度でエヴァートンを上まわる。この7戦で五分の成績を残せるだろうか。

ベニテスは追い込まれている。筆頭株主で強大な発言力を持つファルハド・モシリも、週末からの7試合で監督の技量をチェックするに違いない。

エヴァートンが新監督を物色し、そのリストのなかにランパードが含まれる公算は非常に大きい。話題性は十分だ。チェルシーを率いた19－20シーズンには、メイソン・マウントやリース・ジェームズといった若手を育ててもいる。

エヴァートンの新監督にランパード就任──。絵空事ではない。

文：粕谷秀樹