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33分に川崎が先制し、浦和のキックオフで試合が再開された瞬間、レアンドロ・ダミアンはセンターサークル内に飛び込んで相手ボールを奪いに行った。
相手がパスを回そうとしても、川崎の選手が常に先回りしてボールを持つ選手を囲んで無力化してしまう。前半はそんな展開が続いた。
しかし、そんな川崎が試合終了間際に浦和に同点ゴールを許してしまった。
まるで、ルヴァンカップ準々決勝セカンドレグの浦和戦の再現のようだった。あの試合では、2点リードした状態から川崎は2連続失点して追いつかれ、アウェーゴールの差で敗退してしまった。
引き分けに終わってしまった原因は2つある。
まず、2点目が取れなかったこと。4月〜5月の攻撃力全開の頃と違っているのは、広いスペースを使ってロングボール1本で決定機につなげるような攻撃ができなくなっていることだ。当時は、パスをつないで相手をワンサイドに引き付けておいて、一発のロングボールでサイドを変えてフリーの味方を使う攻撃が有効だった。もちろん、相手に研究されたということもあるが、川崎の選手たちにもそういうカウンターの意識が薄れているような気がする。
そして、引き分けに終わったもう1つの原因は1点を守り切れなかったこと。
たしかに、最初に述べたように川崎の守備は素晴らしい。攻撃時にスペースを見つけるのがうまい川崎の選手たちは、守備に入った時にも危険なスペースを察知する能力が高いので、相手のパスコースを塞いでしまう。だから、相手がパスをつないで攻めてきた場合には川崎の守備がはまる。だが、相手がパスをつなぐことに拘泥せずにロングボールを蹴り込んできたときに、CBが相手FWにかわされてしまったり、あるいはゴール前の混戦を作られたりして失点することが多いのだ。
浦和との試合で、鬼木監督も最後の時間帯にはMFとして守備力の高い山村和也を入れるなど守備を強化して逃げ切りを図ったのだが、ちょっと中途半端だったような気もする。あの時間帯には、名古屋グランパスのマッシモ・フィッカデンティ監督のようにDFを増やして5バックにして割り切って守りに入るような選択も考えた方がいいのかもしれない。
そんな、いくつかの課題を改善していったら、川崎は来シーズンにはもっと強くなるだろう。ううん、しかし、川崎がこれ以上強くなってしまったら、Jリーグは面白くなくなってしまうのだが……。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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