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準決勝でスペインに敗れてピッチに倒れ込む選手たち
依然として悔しい。やけ酒が旨いはずがなく、寝つきも悪かった。史上初の決勝進出にあと一歩のところまで迫ったものの、延長戦で力尽きた。
久保建英はこう言った。
「涙も出てこないです」
キャプテンの吉田麻也は、あふれ出る涙を隠そうとしなかった。
U24日本代表は我慢を強いられた。ボール占有率は39%対61%。自陣でのプレーを余儀なくされ、試合の主導権をスペインに譲っていた。
しかし、ただ引いて守るだけではなく、ボールを奪った後のカウンターは切れ味があり、スペインゴールを脅かす。とくに延長では主導権を奪い返す時間帯が続くほど、日本はよく闘った。
115分に許した1点をめぐり、田中碧、中山雄太、板倉滉の寄せが甘いとの指摘も聞こえてくるが、あのシーンはマルコ・アセンシオのポジショニング、シュート技術が一枚上手だったのではないだろうか。
昨シーズンはレアル・マドリーで35試合・5得点・2アシスト。主役級の活躍ではなかったものの、ジネディーヌ・ジダン監督(当時)の信頼を勝ち得た実力者である。田中も中山も板倉も、致命的といえるほどのミスは犯していない。
前述したボール占有率をはじめ、シュート総数が9対18、枠内シュートも1対6と、データでは日本が下まわっている。とはいえ、戦前の予想どおりであり、劣勢化におけるゲームプランで日本は完璧に近かった。
個人的な疑問はただひとつ。もう少し久保を引っ張れなかっただろうか。彼のキープ力にスペインは手を焼いていただけに、延長開始とともにピッチを去ったことが惜しまれる。
もちろん、森保一監督が「疲れきっている」と判断したのなら、筆者の疑問など余計なお世話だ。動かされる時間が長く続いた結果、選手をよく知る森保監督はなんらかの違和感を抱いたのかもしれない
さて、次は6日に行われるメキシコとの3位決定戦だ。スペイン戦から中二日では、疲労もショックも払拭できるはずがない。気持ちを切り替えるには時間が短すぎる。ただ、3位と4位では景色が違う。是が非でも銅メダルを獲得し、「日本ここにあり!」を世界中にアピールしてほしい。
スペインのルイス・デ・ラ・フエンテ監督が「近年、あらゆる面で著しく成長し、世界的な名声を得ている」と絶賛し、カルロス・ソレールも「競争力が非常に高い。攻撃はアイデアにあふれ、守備はつねに組織されている」と、日本を高く評価していた。
準決勝の試合内容を超ネガティヴに捉える声にはひとます耳をふさぎ、このチームで最後の大勝負に挑む日本に期待しよう。
銅メダル、獲るぞ!
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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