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だが、2戦目では全体に球離れが早くなり、しかも田中碧から質の良いパスが供給されたため、日本のアタッカーたちは相手の守備陣形が整う前にしかけることができた。
もっとも、日本がゲームをコントロールした原因の一つは、アルゼンチンが主力選手を休ませていたからでもあった。アルゼンチンの攻撃を個の力で引っ張る右サイドのアタッカーフェルナンド・バレンスエラやシャドーストライカー的な位置で攻撃の中心となったマティアス・バルガスがベンチスタートだったのだ。フェルナンド・バティスタ監督としては2人が使えなかった時のテストだったのだろう。
F・バレンスエラの代わりに右サイドハーフに入ったのは、本来はサイドバックのエルナン・デラフエンテであり、日本が攻勢を強めるとデラフエンテは次第にポジションを下げて、前半のアルゼンチンは5−2−3のような形になってしまった。
後半、アルゼンチンはF・バレンスエラとバルガスを投入。アルゼンチンのチャンスは大幅に増えた。だが、日本はよく耐えて、たった2本しかなかったCKをどちらも得点につなげて勝利を確実なものとしたのだ。
このアルゼンチンとの2試合はそれぞれのチームの思惑も絡んで、2試合がまったく異なった展開となった。日本は第1戦の教訓を見事に生かして2戦目を戦ったし、アルゼンチンは1戦目で勝利できたため、2戦目には主力を休ませるというテストができた。
つまり、同じ相手と連戦をするというのがとても面白く感じたのだ。これからは、A代表の親善試合でもこうした形の、つまり1960年代のように同じ相手と2試合、3試合を戦うという形式の大会があってもいいのではないか。
とくに、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で海外のチームが来日するのが難しくなっている現状では、せっかく入国できた相手と2、3試合を戦うというのは現実的な選択であるような気がする。日本と韓国のように近距離の相手であれば、ホーム&アウェーで2試合を戦うことも可能だろう。
文:後藤健生
後藤 健生
1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。64年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、「テレビでCLを見るよりも、大学リーグ生観戦」をモットーに観戦試合数は3700を超えた(もちろん、CL生観戦が第一希望だが!)。74年西ドイツ大会以来、ワールドカップはすべて現地観戦。2007年より関西大学客員教授
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