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南野拓実
南野拓実に熱い視線が寄せられている。
週末のマージーサイド・ダービーを控え、地元紙『LIVERPOOL ECHO』は次のように報じた。
「限られた時間のなかで、南野はロベルト・フィルミーノと同等のスキルを持っていることを証明しつづけている」
「リヴァプール入団後、5秒以内にボールを奪回する確率は34・1%。フィルミーノは29・3%にすぎない」
「後半開始から出場したアストンヴィラ戦でもチーム3位となる15回のプレスを敢行し、ボール奪取はチーム最多の7回だ」
いくつかのデータを突きつけられると、「なるほどな」とうなずける。フィルミーノの貢献は認めるものの、疲労が蓄積しているのだろうか、昨シーズンの後半戦を迎えるころからチャンスを逃すケースも増えてきた。『LIVERPOOL ECHO』によると、ヴィラ戦では7回もの決定機を逸したという。
こうした事実を踏まえると、マージーサイド・ダービーで南野の先発は十分に考えられる。対戦相手のエヴァートンは開幕4連勝と絶好調だが、後方からのビルドアップはギクシャクしており、GKジョナサン・ピックフォードもプレス耐性が低いため、南野にとっては格好の餌食かもしれない。
また、ディオゴ・ジョタも先発が濃厚だ。サディオ・マネはコロナウイルス感染から回復したとはいえ、90分フル稼働できるほどのコンディションではない。南野とジョタが労を惜しまずプレスを仕掛け、エヴァートン陣内の深いところでボールを奪う──が、リヴァプールのゲームプランではないだろうか。
そしてエヴァートンを、一瞬たりとも侮らないことだ。ハメス・ロドリゲスの加入により、マージーサイドの “隣人” もうるさくなってきた。パスマスターにボールが入った瞬間、リシャーリソン、ドミニク・カルバート=ルーインが生き生きとする。最終ラインも高めに位置し、セカンドボールを回収する。ここ数年のエヴァートンではお目にかかれなかった風景だ。
カルバート=ルーインの高さは、空中戦に自信を持つフィルジル・ファンダイクをもってしても簡単な相手ではない。しかも今シーズンのエヴァートンには、ハメスのピンポイントクロスという絶対の武器がある。
さらにリシャーリソンのスピードは、DFラインを高く設定するリヴァプールにとって非常に厄介だ。前節のアストンヴィラ戦でも、徹底的に裏を突かれて2-7の惨敗を喫している。
マージーサイド・ダービーで南野が先発すれば、日本人として心は躍る。しかし、今シーズンのエヴァートンは脅威であり、リヴァプールがヴィラ戦のショックを引きずっていたとしても不思議ではない。
カップ戦なども含めて93勝75分66敗。直近3シーズンも4勝4分。リヴァプールは通算成績で圧倒的にリードしている。マージーサイド・ダービーの敗戦は2010年までさかのぼる。ティム・ケイヒルとミケル・アルテタにゴールを許し、0-2の完封負けを喫していた。
10年前の敗北は10月17日。奇しくも、今回と同じ日程である。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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