人気ランキング
コラム一覧
リヴァプール 優勝セレモニー
素晴らしいシーズンだった。32勝3分3敗はケチのつけようがない。優勝決定後は少しだけ気が緩んだものの、ことさらに大きく取り上げるのは無粋というものだ。
リヴァプールは強かった。攻守のすべてが連動し、対戦相手を圧倒しつづけた。アリソン、ファビーニョ、ジョエル・マティプが戦線離脱に追い込まれても、アドリアンが、アレックス・オクスレイド=チェンバレンが、ジョー・ゴメスがその穴をカバーして余りある大活躍。戦術理解度と実行力の成せる業であり、そう簡単にマネできる芸当ではない。
また、トレント=アレクサンダー・アーノルドとアンドリュー・ロバートソンの充実も、勝因のひとつに挙げられる。
ビルドアップ能力と戦術眼にすぐれた両サイドバックを経由しながら、リヴァプールは多くのチャンスを創出していた。彼らはサディオ・マネとモハメド・サラーのスピードと俊敏性を最大限に活かすため、相手DFとGKの間や最終ラインの手前に弾道の低い高速クロスを正確に配した。上背のないふたりにハイクロスは無用の長物である。
仮にクロスのタイミングが若干ズレ、相手ボールになったとしても、ロベルト・フィルミーノが瞬く間にボールを奪い返す。9ゴールに終わったとはいえ、絶妙のポジショニングでスペースを生んだり、中盤まで降りていってビルドアップに絡んだり、データに現れない貢献度も非常に高かった。この男を軽視してはならない。
また、勝利への執念が感じられる試合も少なくなかった。8節は後半の追加タイムにジェイムズ・ミルナーがPKを決め、粘るレスターを突き放している。11節のアストンヴィラ戦は残り3分から2-1と逆転し、27節のウェストハム戦も、マネの決勝ゴールは81分のことだった。
この、決してあきらめない姿勢は、ユルゲン・クロップ監督が5年かけて注入した強みである。就任当初のリヴァプールはどちらかというと淡白で、あっさり負けるケースもしばしばあった。
しかし、2018-19シーズンに転機が訪れる。30勝7分1敗という高水準の成績をあげながら、マンチェスター・シティに次ぐ2位に甘んじた。
「史上最高の2位なんて、なにもうれしくない」(クロップ)
だからこそ、18-19シーズンのチャンピオンズリーグ優勝は大きかったのではないだろうか。決勝でトッテナムに敗れていたら、「こんなにがんばってもまた2位か」と、歪んだ感情が芽生えていた恐れもあった。やはり勝利は最高の良薬である。
「われわれにはまだ改善の余地があり、さらに上をめざすポテンシャルも秘めている」
さらに上……。クロップ監督は30シーズンぶりのリーグ優勝にも満足していない。勝利に貪欲で、つねに前向きな指揮官がいるかぎり、リヴァプールの黄金期はさらに続く。
文:粕谷秀樹
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
あわせて読みたい
J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題
ジャンル一覧
人気ランキング(オンデマンド番組)
-
【先行】高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第20節-2 FC東京U-18 vs. 鹿島アントラーズユース
11月30日 午前10:50〜
-
FIFA U-17 ワールドカップ カタール 2025 準々決勝-1 オーストリア vs. 日本
11月21日 午後9:15〜
-
日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会 ~トリムカップ2025~ 決勝
11月30日 午後2:00〜
-
FIFA U-17 ワールドカップ カタール 2025 ラウンド16 北朝鮮 vs. 日本
11月18日 深夜12:00〜
-
高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 EAST 第20節-1 流通経済大学付属柏高校 vs. 柏レイソルU-18
11月29日 午後1:50〜
-
FIFA U-17 ワールドカップ カタール 2025 決勝 ポルトガル vs. オーストリア
11月27日 深夜12:45〜
-
サッカーニュース Foot! 超高校サッカー通信 Presents 高円宮杯U-18プレミアリーグ 土屋雅史の深掘りレポート2025 #19
11月27日 午後9:30〜
-
【限定】ロングハイライト・高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025 WEST 第20節-3 神村学園高等部 vs. サガン鳥栖U-18
12月2日 午後8:00〜
J SPORTSで
サッカー フットサルを応援しよう!
