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サッカー フットサル コラム 2020年6月10日

総資産43兆円のPIFが市場を静観するとは考えにくい

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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セントジェイムズ・パーク

1.キリアン・エンバッペ(パリ・サンジェルマン)2億3110万ポンド(約316億円)
2.ラヒム・スターリング(マンチェスター・シティ)1億7360万ポンド(約237億円)
3.ジェイドン・サンチョ(ドルトムント)1億5970万ポンド(約218億円)
※1ポンド137円で換算。1000万円以下は切り捨て

イギリス『sky sports』による推定市場価格トップ3である。ただ、あくまでも市場が正常に動いていれば、の金額だ。ヨーロッパの経済学者、マーケティングの専門家、各クラブのディレクターなどがこぞって「コロナ禍では20~30%の減額」と予想しているため、エンバッペも220億円前後ということか。

いやはや、非常時でも超高値だ。全世界が緊縮財政を余儀なくされているいま、220億円ものビッグマネーを投下するのはイメージがよろしくない。

J SPORTS 放送情報

ビッグクラブが普段から社会貢献しているにもかかわらず、「そんな余裕があるのなら貧しいクラブに、生活苦の人々に寄付するべきだ」という声が上がる。上記ランクでは3位のサンチョでさえ、30%減でも150億円を超える。したがって今夏の市場は、比較的静かに推移するとみるのが妥当だ。

「世間の反感を買うような移籍金は慎むべきだ」

ユナイテッドのCEOを務めるエド・ウッドワードも、珍しく正論を吐いていた。『sky sports』も、「ユナイテッドはサンチョ獲得を断念」と報じている。

さて、まもなくニューカッスルに新オーナーが着任する。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン・アル・サウィード皇太子が代表を務める政府系ファンド、『PIF』(パブリック・インベストメント・ファンド)だ。

4月17日のコラムでもお届けしたように、住環境が好ましくなく、太陽があまり顔を見せない土地柄だけに、ビッグスターがニューカッスルに興味を示すとは思えない。

「新オーナーは長期的展望のもと再建に取り組む」

ニューカッスルの周囲からも耳ざわりの優しいコメントが聞こえてくる。

しかし、総資産3200億ポンド(約43兆円!)ともいわれるPIFが市場を静観するとは考えにくい。知名度、実績ともに申し分ない強豪で立場が怪しくなった者が、ステイタスより現実(マネー)を選ぶケースも出てくる。コロナ禍で致命的な減収を招いた中小のクラブは、『PIF』が提示する破格の移籍金に心が揺らぐ。

新型コロナウイルスによって、フットボールの世界も再編を余儀なくされた。無観客が続けば人員削減、週給のカットは避けられず、当然、市場価格にも大きな影響を及ぼす。その一方で、天文学的な移籍金を支払えるクラブがある。スポンサー契約で減収を最小限に食い止め、今夏の市場で積極的に打って出るクラブもある。

市場が開かれることすら定かではない現状では、的外れなテーマかもしれない。ただ、経済を、何気ない日常を取り戻すにはフットボールを筆頭とするスポーツの力は必要不可欠であり、ブンデリーガが再開し、ラ・リーガやプレミアリーグとの再会も近いいま、人々の興味が夏の移籍に戻りつつあることもたしかだ。

ビッグネームに大きな動きが──!?

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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