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この種の判定基準の変化を巡っては、実際の“判例”を積み重ねていかないと理解が進まないものだ。開幕直後は選手が「あれ、これはファウルじゃないんだ?」あるいは「これはファウルなのか?」といった戸惑いを見せる場面も生じることだろう。
開幕直後に審判員の方が、いかに統一した基準で笛を吹くことができるか。それによって審判と選手、そしてサポーターの間で解釈が共有できるようになれば新基準は受け入れられるだろうが……。開幕直後は、各主審の基準に注目して見ていきたい。
また、先日バンコクで開かれたAFC U−23選手権では日本代表の試合で厳しすぎる判定が重なったり、また準々決勝では西野朗監督率いるタイ代表がVARによって微妙な判定によるPKを取られて敗退するなど、「重箱の隅をつつくようにVARによって反則を見つけ出して」審判が試合の行方を決める場面が多かった。
Jリーグの、コンタクトプレーで簡単に試合を止めないという基準は、もちろん世界基準のプレーを目指すJリーグの意図に則ったものであって、けっして間違いではないのだが、微妙なコンタクトでもいちいち笛を吹く傾向が強いアジアの審判のスタンダードとは微妙な(しかし、明確な)差がある。従って、Jリーグ基準やヨーロッパ基準の判定に慣れた日本選手がアジアの大会で不利益を受けることもあろう。代表チームでは担当審判員による判定基準の違いを分析して対策を講じる必要がある。
さて、J1リーグではいよいよ新シーズンから本格的にVARが導入される。
そのVARについては、やはり扇谷氏からビデオ映像を使っての説明があった。使用された素材は昨シーズンの昇格プレーオフ決勝、元日の天皇杯決勝で実際にVARによるチェックが行われた場面。つまり、VARの運用が成功した場面のものだった。
まあ、成功したか紛糾したかではなく、大事だったのはピッチ上の主審とVAR審判の音声によるコミュニケーションである。主審が笛を吹いた(あるいは笛を吹かなかった)理由を声を使って発信し、VAR審判もチェックが必要な場合には「ディレー」つまりプレー再開を止めることを要求。主審とVARの間で短時間のうちに意見が交わされ、さらに別角度での映像をチェックしていく手順の難しさが分かる映像だった。
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