プレーオフ行きを争う重要な一戦 Fリーグ29節すみだ対湘南プレビュー

優勝を決定するプレーオフへ行ける
「3位」争いが激しい残り5節

フウガドールすみだにとっては、あってはならない光景。選手たちの表情には一様に「しまった！」感が強く出ていた。

12月6日（金）、墨田区総合体育館で行われた、Fリーグ2019／2020の第28節。それまで3位につけていたすみだは、ホームに10位のエスポラーダ北海道を迎えた。

試合はお互いに一歩も引かず、攻め続けて点を奪い合う展開。後半の頭にすみだが連続ゴールで5－3とし、そのまま試合をコントロールするかに思われたが、この日の北海道は高い決定力を見せてここから立て続けに得点。日本代表候補の堀米将太のゴールを含む4ゴールを入れて逆転すると、すみだのパワープレーによる反撃を1点に抑えて、7－6で勝利した。

Fリーグは、33節まであるレギュラーシーズン終了後に、3位までに入ったチームが優勝を決定するプレーオフに進出できる。1位名古屋オーシャンズ（勝ち点76）はプレーオフ行き決定、2位のバサジィ大分（勝ち点63）も次節勝利すればプレーオフ行きが決定する状況だ。

ところが、この試合ですみだはシュライカー大阪に逆転され4位に転落。3位大阪（勝ち点52）、4位すみだ（勝ち点50）以下、5位ペスカドーラ町田（勝ち点48）、さらにここ9試合で8勝1敗と好調で勝ち点45まで伸ばしている湘南ベルマーレが6位につけ、残り5試合でこの4チームによる「3位争い」が俄然激しくなっているのだ。

その4位すみだが6位湘南を迎える一戦が、12月14日（土）、東京の墨田区総合体育館で行われ、JSPORTSの中継もある。すみだにとっては今シーズン最後のホームゲームとなるだけに、ファン・サポーターに勝利を届けて、プレーオフ行きへ前進したいところだ。

日本代表メンバーも活躍しそう

すみだが北海道戦でまずかったのは、スコアを見てのとおり、点を取られすぎたことだ。7失点した試合は今シーズンワースト2位。各失点はちょっとしたミスによるものに見えたが、この日は珍しくそれを繰り返してしまい、後半の頭にせっかくリードしたゲームをコントロールできなかった。

好調の湘南相手には、まず失点を回避するのが大切になるだろう。持ち前のプレスで湘南の自由を奪って、シュートまで行かせない展開を狙いたい。

注目選手としては、この一戦のあと、12月17日～19日に茨城県で行われる日本代表候補合宿に選ばれた、田口元気と中田秀人を挙げたい。田口はここ1年コンスタントに代表活動に呼ばれている。スピーディーでキレのあるプレーで、チーム全体の動きをリードすることができる選手だ。中田は今回代表初招集。小柄だが球際に強いレフティーで、パスセンスに優れる。

どちらも攻守に渡って活躍でき、まさにゲームをコントロールできる選手だ。得点シーンに絡んでいるか、守備面で効いているのか、見てみたいところだ。

一方、3回戦制総当たりのリーグの、第2クール後半から6連勝。立川・府中アスレティックFCに敗れたものの、その後も北海道とボアルース長野に連勝してきているのが、現在絶好調の湘南だ。

この8勝1敗の流れのなかでは、すべて失点が2点以内で、守備が安定している。GKフィウーザの好守が計算できるほか、フィールドプレーヤー（FP）もサボらないことで有名だ。そのなかでも注目選手としては、FP最後尾のフィクソのポジションを務める、内村俊太を挙げたい。

内村も来週行なわれる日本代表候補合宿に呼ばれていて、11月末～12月頭の代表チームのスペイン遠征にも招集された。世界トップクラスのスペイン代表との2試合（●0－3、●1－9で2連敗）で日本唯一のゴールを挙げている。最後尾の守備面はもちろんのこと、ボールを持てば攻撃を展開し、ゴール前まであがってシュートシーンにまで絡める幅広いプレーが見どころだ。

悔しい敗戦を経て、すみだが巻き返しをするか。勢いに乗った湘南がすみだをも飲み込むのか。いずれにしても緊張感のある好ゲームが期待できそうだ。

文：菊地 芳樹