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サッカー フットサル コラム 2019年10月30日

優しそうなヴィジュアルとは裏腹に、勝気で短気なアイマール

粕谷秀樹のOWN GOAL,FINE GOAL by 粕谷 秀樹
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パブロ・アイマール

10月26日、FIFA U-17 ワールドカップが始まった。開催国ブラジルがカナダに4-1の快勝を収める一方で、アフリカの強豪カメルーンはアジアの小国タジキスタンに0-1の敗北。早くも波乱が起きている。また、ヨーロッパのクラブが有能なスカウトマンをこぞって派遣し、バルセロナがフランスのアディル・アウシシェに熱視線、との情報が舞い込んでいる。そして、ある男が世界の舞台に戻ってきた。パブロ・アイマール──。U-17アルゼンチン代表監督である。

読者の皆さんはアイマールをご存知だろうか。1990年代中期に、アルゼンチン・フットボールの将来を担う逸材のひとりと高く評価され、リオネル・メッシでさえもが憧れる攻撃的MFだった。マンチェスター・ユナイテッドの監督を長く務めていたアレックス・ファーガソンも、アイマールが大のお気に入り。みずから視察に訪れたり、数多くの映像を入手したり、獲得を真剣に検討したとも伝えられていた。

しかし、踵や右膝、そしてウィルス性の髄膜炎など、ケガや病に苦しみ、メジャータイトルとは縁遠かった。リーベルプレート、バレンシア、レアル・サラゴサ、ベンフィカ、マレーシアのジョホール・タルル・ダクシムなどを渡り歩き、2015年1月に古巣リーベルで引退。1997年のワールドユース(現U20ワールドカップ)でアルゼンチンを優勝に導いたとはいえ、クラブレベルのキャリアはあまりにも寂しい。

さて、アイマール監督のタスクもなかなかハードである。若手の育成に定評のあったホセ・ぺケルマン(現コロンビア代表監督)が去った後、アルゼンチンは19歳以下のレベルが徐々に下がっていった。すぐれたポテンシャルを有しながら周囲の意見に耳を貸さなかったり、一度の失敗で挫けてしまったり、才能が枯渇したわけではないが、一時に比べるとやはり見劣りする。

巧みなステップでマーカーを翻弄するエセキエル・セバ―ジョス、王様然としたたたずまいで〈フアン・ロマン・リケルメ二世〉ともいわれるマティアス・パラシオスなど、アイマール監督のチームにも何人かのスター候補性はいるが、残念ながら小粒感は否めない。

チャンスの数で上まわり、後半の大半を敵陣でプレーしたにもかかわらず、最後の詰めを誤った。後方からビルドアップする際、スペインのプレッシャーラインを無効化する工夫も足りなかった。世界大会特有の緊張感なのか、あるいはフットボール大国ならではの重圧なのか。その結果がスコアレスドローである。

試合後、アイマール監督はどのようにアドバイスしたのだろうか。昨年11月のU15南米選手権では、アシスタントコーチとしてアルゼンチンの優勝に貢献した。若者をコントロールする術は心得ている。この男、端正で優しそうなヴィジュアルとは裏腹に、大の負けず嫌いだという。

文:粕谷秀樹

粕谷 秀樹

ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。

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