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サッカー フットサル コラム 2019年6月7日

今シーズンを占う好カードは、ゴールの奪い合いか!?Fリーグ第3節 町田vsすみだプレビュー

Fリーグコラム by 菊地 芳樹
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3人のピボを使い分けるすみだ
ガリンシャが絶好調!

5月25日に開幕したFリーグ2019/2020は、今週末が第3節。6月9日には、東京の町田市立総合体育館で、ペスカドーラ町田対フウガドールすみだの東京勢の一戦が行われる。かつて日本の競技フットサル界をリードしてきた両チームの戦いは、毎回注目が高い人気カードだが、対戦成績は町田が11勝1分3敗と大きくリード。しかも昨シーズンは何と町田の3戦3勝で、すみだは1ゴールも奪っていない。


昨シーズンのすみだはシーズンを通して得点不足に苦労し、それがリーグ7位という不本意な結果につながってしまった。しかし、今シーズンは開幕2戦ですでに7ゴールを挙げている。


すみだといえば、自慢の「攻守の切り替え」からカウンターでゴールを奪う形と、前線に攻撃の起点となるピボを置き、そこに縦パスを入れてからシュートチャンスをうかがう形が特徴だ。今シーズンは、巧みな体使いを駆使しながらボールをさばく岡村康平と、バサジィ大分から加入し、力強いキープとそこからの反転シュートが魅力の上福元俊哉。そして来日2年目でレフティーのブラジル人、ガリンシャと、3人のピボを使い分けて攻め込む。


特にガリンシャは、開幕戦でエスポラーダ北海道相手にハットトリックの大活躍。第2節は大分に敗れたものの1得点し、2試合連続ゴール中。町田戦でも大きな強みとなるはずだ。


チーム全体としても、「誰かが(ゴールを)取るというのではなく、自分が取ってやるという姿勢が(チームに)ある」(キャプテンの諸江剣語)と、手応えを感じている様子。得意のカウンターは町田のみならず、リーグ全体でも警戒されている状態。そうなると、3人のピボを使ってのゴールシーンを生み出せるかが、すみだの勝利のカギを握りそうだ。

若手選手が増えた町田だが、勝利へはベテランの力が必要


ホームの町田は今シーズン、ルイス・ベルナット新監督を迎えた。昨シーズンの主力が何名かチームを離れたが、新加入としては昨シーズンFリーグ選抜でプレーして成長した伊藤圭汰が戻ってきたくらいで、いわゆる「補強」はなし。開幕2試合は、育成組織から引き上げられた若手が多くメンバーに名を連ねていることからも、ベテランの力を借りながら若手を育てていこうというチームの方針がうかがえる。


22歳の伊藤はすでにチームの主力として組み込まれた起用のされ方をしているが、リーグ開幕前のオーシャンカップで活躍した菅谷知寿や、中村充や二井岡嵩登らの同い年のメンバー。また高校3年生の2人、甲斐稜人や倉科亮佑らの早い成長が期待される。


とはいえ、彼らが計算できる選手になるまでは、もちろんこれまで長い期間チームを支えてきたベテランの力が必要だ。特に得点という面では、森岡薫とクレパウジ・ヴィニシウスの2枚看板の活躍が不可欠。その点ヴィニシウスは開幕2戦連続ゴールと好調で、昨シーズンもすみだ相手に3ゴール。3試合中2試合で先制ゴールを決めている相性の良さもある。抜群のシュート精度を誇るレフティーのストライカーは、この試合のキーマンとして挙げられるだろう。

一方の森岡は、5月中旬のオーシャンカップでは4試合連続の8ゴールと大暴れしたが、リーグは開幕2戦ゴールなし。もちろんシーズンが終われば「今年もたくさん点を取っているなあ」と振り返ることになるのだろうが、最近はかつてのような爆発的な攻撃力よりも、相手の対応が上回っているシーンを多く見受ける。現在40歳。そこを持ち前のフィジカルでやっぱり上回ってくるのか、あるいはスタイルを変える工夫を見せてくるのかは、この試合に限らず今シーズンを通して注目したいところだ。

もう一人、町田は室田祐希のプレーにも注目したい。両チームのメンバーを見ても、最も個の突破力のある選手だからだ。ただ、室田のドリブルも最近は相手に読まれてきている感がある。


新しいフェイントが見てみたい。あるいは味方とのコンビネーション突破ももっと見てみたいと思う。


スピーディーなパス回しからの室田の突破は、町田の攻撃のアクセントとなって決定機も数多く作ってきただけに、これからもチームの生命線だ。


町田、すみだ、両チームとも、実力、経験豊富で、今シーズンの上位を狙える。それだけにこの試合は、その後のリーグ展開を左右する、今シーズンを占う注目の一戦になるだろう。

菊地 芳樹

菊地 芳樹

1971年生まれ、神奈川県出身。ライター&編集者。サッカーの技術情報誌「ストライカーDX」元編集長。フットサルは競技が誕生した1990年代半ばより、日本のトップレベルを追いかけ、全国大会、Fリーグ、アジア選手権、ワールドカップなどを取材。自らも長くプレーを楽しんでいる。

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