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サッカー フットサル コラム 2019年2月15日

ひたむきで、たくましくなった Fリーグ選抜の成長

Fリーグコラム by 菊地 芳樹
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最終戦は町田を完封で締めくくり

20代前半の若い有望選手を集めて作った「Fリーグ選抜」が、今シーズンリーグに参戦して1シーズンを戦った。所属チームで試合出場機会に恵まれない選手たちを鍛えて、未来ある選手たちの競技力を高める狙いだったが、どのような結果を残すのかに注目が集まった。

結果は12チーム中8位という成績(10勝7分16敗、勝ち点37、得点78、失点102)だった。東京・駒沢屋内球技場のセントラル開催で行われた、最後の2試合。32節のアグレミーナ浜松戦は相手のペースにハマる戦いになってしまったが、ラスト9秒で追いつく引き分け。最終節のペスカドーラ町田戦は、終始豊富な運動量で相手を上回り「40分を通してゲームをコントロールできたのではないかと思う」(三笠貴史)。試合展開に合わせた柔軟な戦いぶりを見せ、最後は成長した姿を見せたのだった。

リーグ初戦はシュライカー大阪に2-6の完敗だった。チームを率いた高橋優介監督によれば、「40分ゲームし続けることが難しかった」。相手にゲームを支配され、その後開幕3連敗と前途多難のスタートとなった。しかし、4節のバルドラール浦安戦で初勝利を挙げると、続く5節ペスカドーラ町田戦に連勝し、8節は名古屋オーシャンズと2-2の引き分け。ここが一つのきっかけで「ゲームを支配されながらもやれることはあるんだな」(高橋監督)と感じたのだという。

チーム一丸となっての成長

メンバー全員が集まっての寮生活、名古屋オーシャンズの施設を使った練習と、伸びる環境は整っていた。「若手ならではの勢いに(高橋)監督のアイデアと経験が加わる。チーム一丸となっていて、なんか高校サッカーみたいな感じでした(笑)」とチーム1位の14得点を挙げた新井裕生は語る。また、Fリーグ各チームから集まってきたメンバーならではの情報交換は、選手それぞれのフットサルの知識向上にも大いに役立ったのだそうだ。

第2クールのエスポラーダ北海道戦は、点の取り合いとなり、最後は2点差を逆転して5-4で勝利。「ゲームをひっくり返すことがあまりなかった」(高橋監督)チームが、また自信を得るきっかけになった。

第1クール3勝2分6敗、第2クール4勝1分6敗ときて、第3クールは3勝4分4敗。試合を重ねるごとに分析をされ、対策をされていく戦いが続く中で、何とか勝ち点をもぎ取っていくゲームができるようになったのは大きい。

そしてシーズンを通して目立ったのは、各選手のひたむきなプレーぶりだ。言葉は悪いが最初は「下駄を履かせたチーム」としてスタートしたチームなわけだが、その一生懸命なプレーぶりはどの会場でも見る者に好印象を与え続けた。ファンもついた。そんな中、最後は強豪の町田に完勝でフィニッシュ。チーム解散前のラストゲームで素晴らしいプレーを見せ、試合後高橋監督は胴上げされ、感傷的な雰囲気が会場を包んだ。

フットサルの魅力を伝える立場に

チームはこれで解散となるが、今後の選手たちの目指すところは「来季次のチームの主力として戦うこと」という三笠キャプテンのコメントに尽きるだろう。シーズン中に伊藤圭汰が日本代表の活動に呼ばれたように、近い将来、それぞれが日の丸をつけてプレーすることも期待される。

「結局どこかにいってプレーするので、できるだけいろんな環境、いろんな監督のプレーモデルに対して、いろんなプレーができるようにならないといけない」という高橋監督の考えの下、1年間プレーした選手たちは、今後の飛躍のベースを培った。

そしてもう一つ付け加えるならば、たくましく成長した今回のFリーグ選抜の選手たちには、ぜひ未来のフットサル界に向けて、そのプレーや言動でフットサルの魅力を伝える立場になってほしいと思う。

菊地 芳樹

菊地 芳樹

1971年生まれ、神奈川県出身。ライター&編集者。サッカーの技術情報誌「ストライカーDX」元編集長。フットサルは競技が誕生した1990年代半ばより、日本のトップレベルを追いかけ、全国大会、Fリーグ、アジア選手権、ワールドカップなどを取材。自らも長くプレーを楽しんでいる。

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