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向こうずねを痛めたポール・ポグバは、11月11日のダービーを欠場した。プレー強度、継続性、トランジションなどでOB連の批判が集中しているが、ポグバを欠いた途端にマンチェスター・ユナイテッドの攻撃力は低下する。3ゴール・3アシストはチーム総得点の30%にからみ、古巣ユベントスやバルセロナとたびたびリンクされる事実も、この男の評価と表現して差し支えない。
さて、ポグバを使えなかったジョゼ・モウリーニョ監督は、マルワヌ・フェライニ、ネマニャ・マティッチ、アンデル・エレーラという中盤を構成した。フェライニとマティッチは敏捷性に欠け、エレーラも与えられた任務に忠実なだけで、創造力には乏しい。しかもフェライニはそけい部を負傷しており、満足に闘えるコンディションではなかったという。
ポグバ不在にもかかわらず、なぜこのような人選に至ったのだろうか。フレッジの運動量は必要だった。アンドレアス・ペレイラの丁寧なボールさばきは、今シーズンのマティッチよりも使える。さらに、ファン・マタとアレクシス・サンチェスの投入は、1-2で迎えた73分。守備的な采配がモウリーニョ監督の持ち味とはいえ、消極的すぎはしないだろうか。
ユナイテッドのOBで、鉄壁のセンターバックとして知られたネマニャ・ヴィディッチ氏(現beIN SPORTS解説者)はこう語る。
「チェルシーでもインテル・ミラノでも、モウリーニョ監督は守備を重視して成功を収めた。彼はサー・アレックスではないってことさ。いまは辛抱するしかない」
たしかにそのとおりだ。モウリーニョ監督は彼ならではの哲学で今日の地位を築いた。ジョゼップ・グアルディオラ監督やユルゲン・クロップ監督の手法をコピーする必要はない。しかし、なぜ動けないマティッチを重用するのか。DFラインで孤軍奮闘した時期もあったエリック・バイリーを、数回のミスでなぜ干したのか。今シーズンは理解に苦しむ人選も少なくはない。
アクシデントの対処法でも、隣の芝生は間違いなく青かった。シティはひざを痛めて戦列を離れているケビン・デブライネの穴を、ベルナウド・シウヴァが十分すぎるほど埋めている。ポグバの代役は、攻撃的センス比較にならずで、なおかつ負傷を抱えているフェライニだった。ユナイテッドの選択肢はあまりにも悩ましい。
シティとの差は12ポイントに開いた。まだまだ逆転可能とはいえ、序盤戦のパフォーマンスを見るかぎり、両チームの完成度は月とスッポンだ。現有勢力のシャッフルも含め、モウリーニョ監督は少し考え直した方がいい。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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