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先制ゴールに決勝点。チュニジア戦のヒーローはハリー・ケインだ。彼の活躍なくして、3ポイントは得られなかったに違いない。しかし、コンディションがすこぶるいいわけではなかった。ボールコントロールは終始ままならず、ポストプレーは精度を欠いた。絶好調時に比べるとからだが重く、2ゴール以外に見せ場が少なかったことも事実である。
また、ラヒーム・スターリングは強引なドリブルが目立ち、デレ・アリは右太ももの痛みが影響したのか、抑え気味にプレーしているように映った。ジョーダン・ヘンダーソンの散らしはやはり創造性を欠き、カイル・ウォーカーは不用意な左エルボーでPKを与える始末だ。
したがって、チュニジア戦は結果がすべて。試合内容に関しては反省すべき点が非常に多い。再三にわたって訪れた決定機をなぜ逸したのか、ヘンダーソンの両脇に生じやすいスペースをどのようにして埋めるのか、あるいはエリック・ダイアーを起用して中盤センターを二枚にするのか、少なくともこの三点を整理し、24日に行われるパナマ戦に臨まなければならない。
チュニジア戦では効果的だったバリー・マグワイアの空中戦も、少し割り引いて考えた方がいい。パナマのロマン・トーレスは188㌢・93キロの偉丈夫で、その肉体を利した空の強さは193㌢・98㌔のマグワイアにまさるとも劣らない。ブラス・ペレス(187㌢)、バレンティン・ピメンテル(189㌢)などもエアバトルなら臨むところだ。各グループの初戦を見るかぎり、イングランドのセットプレー、とくにCKは大会屈指の破壊力と精度を誇っているものの、チュニジア戦で多用したストレート系のボールだけではなく、パナマの目線をずらすショートを使うなど、工夫が必要だ。
さて、ガレス・サウスゲイト監督は後方からのスピーディーなビルドアップを志向しているが、今大会は各会場とも芝生が長く、パススピードが制限される。しかもイングランドはゲームメーカー不在だ。こうした状況を踏まえると、よりダイレクトなスタイルも採りいれるべきではないだろうか。ウォーカー、ジョン・ストーンズといったパス能力の高いDFが中盤を省略して長めのパスを配し、スピードを武器とするスターリング、ジェシー・リンガード、マーカス・ラシュフォードはパナマDF陣の背後を突く。ケインはチュニジア戦よりも頻繁に、マーカーを引き連れて中盤に降り、サイドにも流れてスペースを創る。ゲームプランを徹底しなくてはならない。
両チームの間にはレベル格差があるため、常識としてはイングランドに分がある。しかし、今大会はドイツがメキシコに敗れ、ブラジルはスイスに、アルゼンチンはアイスランドと引き分けている。波乱の連続。そうだ、日本もコロンビアに勝っていた。イングランドも、心してかからなくては──。
粕谷 秀樹
ワールドサッカーダイジェスト初代編集長。 ヨーロッパ、特にイングランド・フットボールに精通し、WWEもこよなく愛するスポーツジャーナリスト。
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