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今シーズンから、ディビジョン1、ディビジョン2の2部制になり、シーズン末に入れ替え戦を行うこと。優勝を決定するプレーオフ進出はこれまでの上位5チームから3チームになったこと、ベンチ入りメンバーが12名から14名までになったことなど、いくつかの変更があっての新シーズンのスタートだ。
メンバーの顔触れが大きく変わったチームもある。各チームの戦いぶりを振り返りながら、今シーズンの見どころをチェックしておきたい。
新メンバー中心の大分
仙台は立ち上がりの問題を解決したい
開幕試合は、バサジィ大分が5‐2でヴォスクオーレ仙台を下した。
大分はエースの仁部屋和弘が家庭の事情でチームを離れることになり、キャプテンは府中から移籍してきた上福元俊哉が務める。GKのマルセロ、FPのヴィトン、レイチと3人のブラジル人選手も加わり、「新しい選手がチームの軸」(伊藤雅範監督)とのこと。この日の試合もセットプレーがはまり、こちらもデウソン神戸から新加入の森洸が、いずれもCKからゴールを決め、ハットトリックの活躍を見せた。
仙台は、前半3点をリードされながら、後半FK2発で1点差まで詰め寄ったが最後に離される展開だった。バルドラール浦安から移籍し、その2ゴールを決めた荒牧太郎は「最初の10分でいつものプレーができなかった」とコメント。東北唯一のFリーグチームだが、地理的な問題でFリーグのチームと練習試合などができない点で不利があるという。
ゲームの主導権を握ろうとする立ち上がりの攻防は、他の試合を見ても年々スピーディーで激しくなっている。その感覚に慣れずに本来の力を出し切れないと難しい。「細かい修正がすぐできるようにしたい」(荒牧)とのことで、今後試合内容がどう変わっていくかが注目される。
ベテランがコントロールする立川・府中
若手の成長が急務な北海道
開幕試合と同様、「経験の差」が現れたのが、立川・府中アスレティックFCが6‐2でエスポラーダ北海道を破ったゲームだった。
北海道は10代の選手を4名入れるなど、若さを印象づけられたものの、攻守のコンビネーションにかけ、府中相手にチャンスを作れない。そうしている間に立川・府中に次々とゴールを奪われ、前半で0‐4と試合を決められてしまった。後半、2点を決めたのも、水上玄太、鈴木裕太郎のいつものベテラン2名だった。「一戦一戦、戦う中で強化していきたい」(小野寺隆彦監督)とのことだが、今シーズンも厳しいリーグを強いられそうだ。
一方、立川・府中は、この試合皆本晃や渡邉知晃ら経験豊富な選手が、2得点の丸山将輝や内田隼太ら若い選手たちを活躍させた形だった。「今シーズン入った選手たちがスピードと躍動感を加えてくれた。ベテランもこれに乗っかって、魅力ある強いチームにしていきたい」と皆本。新しい姿を見せつつあるチームが、昨シーズン逃したプレーオフ入りに向けて、上位に食い込んでいけるかどうか。
昨シーズン3位の湘南を破り 牙をむいた浦安
バルドラール浦安が昨シーズン3位と大躍進した湘南ベルマーレを3‐1で倒したゲーム。最後まで僅差の攻防が続き、振り返って見るには、おすすめのゲームだ。
浦安は攻めでも守りでも粘りを見せた。自陣から細かくボールをつないでは、相手の裏へ抜ける動きを繰り返し、湘南のプレスをいなす。守りでは、個人からの意欲的な仕掛けをしてくる湘南に対し集中力を切らさず、足が止めるシーンがなかった。
湘南が退場者を出した数的有利の時間帯に、きっちり勝ち越しゴールを決めた。「全員がハードワークし、個の1対1で負けなければ、チャンスが巡ってくる」と同点ゴールを決めた加藤竜馬キャプテンは言う。格上相手にこうした粘っこい展開のゲームを続けていくと、順位争いが面白いものになっていくだろう。
敗れた湘南は、「開幕戦ということで大事にいった、置きにいった試合。チャレンジし続けないとこういうことになる」(奥村敬人監督)と猛省。メンタル面がプレーに影響しただろうか。今シーズンは他チームからの徹底マークにあうだけに、こうした反省が生かせるかは、これからのプレーぶりにかかってくるだろう。
大阪が貫禄の勝利
Fリーグ選抜は苦い初戦
開幕節2日目は、シュライカー大阪と、今シーズンからリーグに加わるFリーグ選抜。
フットサル界の将来に向けて、20歳前後の選手たちを集めてチームを組み、戦うFリーグ選抜。個々の選手のポテンシャル高く、前半は新井裕正の見事なロングボレーシュートや、後半も鬼塚祥慶がドリブルシュートを決めて、会場を沸かせた。「よく走るし、技術的にすごく高い」と大阪の小曽戸允哉キャプテンが語るプレーぶりだった。
しかし、ゲームはがっちりと大阪が握り、6‐2の大勝だった。チアゴがハットトリック、アルトゥールが2得点の活躍。Fリーグ選抜のちょっとした局面のエラーを、大阪は逃さずにチャンスにして、若いFリーグ選抜をレッスンした形。
「技術、戦術というより、最初から戦う、勝つという強い気持ちをもっていかないと同じ土俵で戦えない」とキャプテンの三笠貴史は反省の言葉。一瞬のプレーだけでなく、40分トータルでの素晴らしいプレーを見たいという気持ちにさせられたゲームだった。
今シーズンも強い名古屋
浜松は果敢に攻め込んで大敗
今シーズンももちろん勝ちまくっての優勝を狙う名古屋オーシャンズは、ライバルたちがうんざりするほどの大勝を見せた。立ち上がり4分までの立て続けの3ゴールで、アグレミーナ浜松に対してあっさりと試合の主導権を握ると、その後もコツコツとゴールを重ね、9‐0のスコアだった。
後半退場者を出し、数的不利の2分間があったが、それもあっさり守り切る運動量と球際の強さは圧倒的。「勝った試合こそ、ここからもっとよくするための修正が大事」(星龍太キャプテン)と、精神的にもまったくぬかりなく、優勝へ向けて好スタートを切った。
浜松は点差をつけられながらも果敢に攻め続けて、さらに傷口を広げた形だった。それでも名古屋ゴール前に迫るシーンも数度あり、「点は取り切れなかったが、シュートまで行く形は見せられた」(豊島明監督)。ここからは、どんな相手にも攻め切る自信と結果を得られるかが、ポイントとなりそうだ。
苦しみながらも勝ち点3を取れた町田
すみだは真の強豪への脱皮を図る
今シーズンの名古屋の対抗と見られるペスカドーラ町田は、苦しい戦いながらフウガドールすみだに3‐0と完封勝利。大阪からヴィニシウスが加入、ブラジル人のアウグストも補強して戦力アップしたが、GKイゴールが負傷し夏場まで欠場すると見られている。
しかし、この試合ではGK小野寺優介が、すみだの決定的なシュートをことごとく防ぎ、自らのスローでゴールをアシストもする、「イゴールでもここまでできるか」というくらいの好パフォーマンスを見せてヒーローになった。
「狙った攻撃ができなかった。もっと足を使って、攻撃のテンポをあげたい」(岡山孝介監督)という内容ではあったが、名古屋に離されないためには、苦しいときでも毎試合勝利をもぎ取ることが大事だろう。
敗れたすみだは、町田の激しいプレスをかいくぐって試合のペースをつかもうとしたが、うまくいかなかったゲームになった。攻守の切り替えや守備でペースをつかめるチームではあるが、この狙いは「総合力をつける」(須賀雄大監督)目的があるようだ。昨シーズンから上位陣との競り合いに敗れているケースが多いだけに、勝負強さを早く身に着けたいところだ。
菊地 芳樹
1971年生まれ、神奈川県出身。ライター&編集者。サッカーの技術情報誌「ストライカーDX」元編集長。フットサルは競技が誕生した1990年代半ばより、日本のトップレベルを追いかけ、全国大会、Fリーグ、アジア選手権、ワールドカップなどを取材。自らも長くプレーを楽しんでいる。
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