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前代未聞の「アルプ・デュエズ」連続登頂! 第20ステージは「歴史的な1日」に|ツール・ド・フランス直前コラム vol.3
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介2022年に登場したアルプ・デュエズステージ勝者はツール初参戦のピドコックだった
2026年のツール・ド・フランスはスペイン・バルセロナから旅を始め、ピレネー、中央山塊、ヴォージュの山々を越えて、アルプスへと向かっていく。
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ツール・ド・フランス 第19ステージのコースプロフィール
今大会の最終決戦地となるアルプスでは、どんなドラマが待っていることだろうか。とりわけ注目されるのが、第19・第20ステージでのアルプ・デュエズ連続登頂。この名峰へのアプローチは第19ステージ、第20ステージでそれぞれ異なり、各チーム・選手たちの戦い方にも違ったカラーが見られると予想される。
本記では両ステージのコース案内も含めながら、レース内外での楽しみ方にも触れていきたい。
ショートコースにして3500m上る第19ステージ
アルプ・デュエズ初日となる第19ステージは、ギャップの街をスタートする127.9km。リアルスタートと同時に2級山岳コル・バイヤール(登坂距離4.7km、平均勾配7.2%)を上り始め、いったん下ったら1級山岳コル・デュ・コル・デュ・ノワイエ(7.2km、8.5%)へ。
再び下るとしばらくは高低の変化が少ない道を行き、やがて終盤の山岳区間へ。手始めに2級山岳コル・ドルノン(5.4km、6.4%)を上ったら、いよいよアルプ・デュエズへのアタックを迎える。
山の南側から上り始めるルートには21ものヘアピンが待ち受けており、集中力と登坂リズムが問われるコースと言える。主催者にして、「ダイナミックでチャレンジングなルート」。フィニッシュまでの13.8kmは、平均勾配8.1%。繰り返し10%超の急坂区間が現れる一方で、最後の約3kmは5%前後の緩斜面に。
レース距離こそ短いが、3500mにも及ぶ獲得標高差が一層難しさを感じさせるコース。マイヨ・ジョーヌ争いがどう展開するか見ものである。
第20ステージは標高2000m級の山々を越えてアルプ・デュエズへ
ツール・ド・フランス 第20ステージ コースプロフィール
激戦必至のショートステージから24時間後、目的地を同じくして第20ステージがスタートする。
ル・ブール=ドアザンを出発したプロトンは、アルプ・デュエズを大きく囲むようにして時計回りに進行。何より、この間に越える山々がタフさを極める。
この日のピドコックはダウンヒルでアウトから追い抜くテクニックを見せた
リアルスタートから10kmもいかないうちに、1つ目の上りとして超級山岳コル・ド・ラ・クロワ・ド・フェール(24km、5.2%)へ。標高2067mまで上ったら、30km以上をかけてダウンヒル。66.5km地点で中間スプリントポイントを通過したら、再び上り基調に。
中間地点に達しようかというタイミングで、ツールではおなじみの1級山岳テレグラフ峠(11.9km、7.1%)、超級山岳ガリビエ峠(17.7km、5.2%)を立て続けに登坂。それぞれ、頂上の標高は2067mと2642mを数える。
再度30km超のダウンヒルをこなして、超級山岳コル・ド・サレンヌ(12.8km、7.3%)を経由してアルプ・デュエズへと踏み込んでいく。
アルプ・デュエズに向けては、東からのルートが採用される。この山で上る距離自体は約4kmと短く、実際のところはコル・ド・サレンヌが最終登坂といった趣きに。サレンヌの頂上からアルプ・デュエズへは勾配が緩やかで、フィニッシュでの山岳ポイント付与も行われない。したがって、レース展開的にはサレンヌでのアタックからの逃げ切りか、絞り込まれた精鋭メンバーによるステージ優勝争いになると予想されている。
ただひとつ、確かなことは、アルプ・デュエズの頂上で2026年のツール・ド・フランス覇者が事実上決定するという事実。昨年10月のコースプレゼンテーションで衝撃を持って受け入れられた、「アルプ・デュエズ2連戦」の結末を見ることになる。
ちなみに、この日のレース距離は170.9km。獲得標高差は5450mと、ツールにおいては類を見ない高難度。最高標高地点となるガリビエ峠には、アンリ・デグランジュ賞が設定される。
アルプ・デュエズはすべての人々にとっての大勝負
アルプ・デュエズ2連戦によって、チームや選手の対応の仕方が大きく異なってくると見られる。同じプロトン内でもあらゆる思惑が働いていて、他のステージ以上に着目すべきポイントが出てきそうだ。
個人総合のマイヨ・ジョーヌ争いにおいては最終決戦地となるので、上位ライダーたちが全身全霊で山々を駆けていくことになる。とにかく、ライバルとの差を広げ、マイヨ・ジョーヌを確定させること。また、マイヨ・ジョーヌに届かずとも、総合表彰台であったり、トップ5、トップ10といった目標に向かってスマートに走り抜く選手たちの姿も印象に残ることだろう。
熱狂的ファンが何日も前からキャンプカーで入山し、当日を待ち侘びる
山岳賞のマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュの行方も、この2日間が大きく関係してくる。山岳ポイント付与が相当数になることから、水玉ジャージの獲得を目指す選手たちの攻防も大いに見もの。特に第20ステージは、スタートから逃げてポイント量産を図る選手が出てくることだろう。かたや、この2日間を前に同賞争いが混戦になっているようだと、個人総合を争う選手たちが上位成績とともにこの賞を持っていってしまうパターンも。山岳賞狙いに絞って走る選手が現れるかどうかも、ジャージ争いの方向性を左右する。
そして何より、パリ到達が懸かる時期とあり、タイムアウトにならず山々をクリアすることが一番。スプリンター系のライダーや、日々のレースによって激しく消耗している選手にとっても、この2日間は試練になる。
最終決戦を見届けるべく、コースには世界中から多くのファンが詰めかけるに違いない。現地では、数日前から場所取りをする人や、キャンピングカーでレースを追いかけながら旅をする人たちの姿を見ることができる。レース時には、選手たちとファンとの距離が近く、ダイレクトに応援できるのも魅力的。ファンの出身地ごとの陣取りもユニークで、オランダから集まった人たちでいっぱいになる「ダッチコーナー」はもはやツール名物。
山岳ステージは選手たちだけでなく、ファンや関係者にとっても大一番。アルプ・デュエズ2連戦は、一段と熱く、華やかなレースになりそうだ。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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